【アメリカから見たTPP(8)】中国はTPPに参加するのか?
「確かに今この時点で、中国が多種にわたる厳格な自由化基準を満たすことはできないでしょう。例えば、関税撤廃や知的財産の権利についての高い規制基準などです。しかし、全てのTPP参加国は『TPPは開かれている』と述べています。中国政府の声明は、TPPの合意がWTOのルールに則るものであり、地域の経済発展を手助けするものである限り、中国は関心を持っているというものでした」 中国がルールの設定者ではなく、ルールを守る立場として従わなくてはならないTPPの厳格な合意内容は、2001年に中国がWTOに遅れて参加した時と同じように、中国の姿勢を変化させるものとなるかもしれない。 では、中国すら参加する可能性を含んでいるTPPを通じた貿易拡大は、地域の安定にどのような影響を与えるのだろうか。 (次回最終回)
◇クリスティーナ・デイビス教授 米プリンストン大政治学部、ウッドロー・ウィルソン国際公共政策大学院兼任教授。国際関係論と比較政治学の研究を行い、貿易政策が専門。日本、東アジア、EU、国際機関の政策や外交について研究している。「 Food Fights Over Free Trade: How International Institutions Promote Agricultural Trade Liberalization」「Why Adjudicate? Enforcing Trade Rules in the WTO」(大平正芳記念賞)などの著書がある。 (聞き手・文:Matthew Kolasa、翻訳・構成:中野宏一/THE EAST TIMES)