長塚京三×吉田大八「敵」第37回東京国際映画祭コンペに正式出品 主人公の丁寧な暮らしぶりをとらえた新場面写真3点披露
長塚京三が12年ぶりの映画主演を務め、吉田大八監督(「桐島、部活やめるってよ」「騙し絵の牙」)が筒井康隆氏の小説を映画化する「敵」が、第37回東京国際映画祭のコンペティション部門に正式出品されることが決定。あわせて、新場面写真3点がお披露目された。 【フォトギャラリー】長塚京三演じる主人公の丁寧な暮らしぶりをとらえた新場面写真3点 物語の主人公は渡辺儀助、77歳。大学教授の職を辞して10年、妻には先立たれ、祖父の代から続く日本家屋で暮らしている。自分で料理を作り、晩酌を楽しみ、多くの友人たちとは疎遠になったが、気の置けないわずかな友人と酒を飲み交わし、時には教え子を招いてディナーを振る舞う。預貯金があと何年持つか、すなわち自身があと何年生きられるかを計算しながら、来るべき日に向かって、日常は完璧に平和に過ぎていく。遺言書も書いてある。もうやり残したことはない。だがそんなある日、書斎のiMacの画面に「敵がやって来る」という不穏なメッセージが流れてくる。 1974年にフランスで俳優デビューしてから50年、名優として日本映画、ドラマ、舞台の歴史に名を刻んできた長塚にとって、「ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を」(2013)以来、12年ぶりの映画主演を務める。“理想の上司像”の印象も強い長塚が、本作では人生の最期に向かって生きる人間の恐怖と喜び、おかしみを同時に表現する。清楚にして妖えんな魅力をもつ大学の教え子役で瀧内公美、亡くなってなお儀助の心を支配する妻役で黒沢あすかが幻想的に登場。バーで出会い、儀助を翻ろうする謎めいた大学生役に河合優実を配するほか、松尾諭、松尾貴史、カトウシンスケ、中島歩らが脇を固める。 本日9月25日、東京国際映画祭のラインナップが発表され、「敵」のコンペティション部門への正式出品、ワールドプレミア上映が決定した。吉田監督は「歴史ある東京国際映画祭のコンペティション部門に選出していただき、大変光栄です。それにつけても『敵』を見つけて戦わずにはいられない人間の業には終わりがありません。映画の主人公も、静かな生活に突然現れた『敵』と対峙せざるを得なくなります。家から世界、さらに遠い次元を経て再び自分へと回帰するそのささやかな戦いを、国際映画祭ならではの大スクリーンでお披露目できるとは、主人公も『敵』もまさに本望でしょう。ぜひこの機会に足をお運びください!」と、喜びのコメントを寄せた。 新場面写真には、儀助が行きつけのお店で談笑する姿を活写。さらに、大学の教え子の靖子と自宅の書棚の前で会話を楽しんだり、妻・信子と食事をともにしたりする姿も切り取られている。儀助は大学教授の仕事をリタイアし、ひとりで暮らしているが、自宅でも、外に出かける時でも、身なりをきちんと整えている様子からは、丁寧な暮らしぶりを窺い知ることができる。 「敵」は、2025年1月17日、東京・テアトル新宿ほか全国で公開。第37回東京国際映画祭は、10月28日~11月6日、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催される。