〈支持のうねり起こすハリス〉急速に集める「ブロック票」、“異例”の動きはどこまで続くか
「Z世代」、白人からも
若年世代の態度にも変化が見られる。 とくに20歳代を中核とする「Z世代」(1997-2012年生まれ)は、これまで「バイデン(81歳)対トランプ(78歳)」の高齢者同士の今回の選挙に興ざめし、投票回避の傾向が指摘されてきた。 ところが、その後、バイデン氏に代わり比較的若手のハリス氏が急遽登場したことで、ムードが変わり始めている。とくに先月末以来、「Z世代」の間では、ハリス候補のシンボルマークにもなりつつあるグリーン色のヤシの木の「ミーム」が「TikTok」で爆発的に広がっており、気候変動、性的少数者(LGBT)、銃砲規制、経済公平性、人工中絶などの社会問題に理解を示すハリスへの投票呼びかけが続いている。
ハリス氏出馬表明後、わずか1週間程度の間のこうした一連の動きは、トランプ氏と比較した「好感度(favorability)」調査結果に早くも表れている。 米ABCテレビが世論調査「Ipsos(イプソス)」と合同で実施した去る7月28日付けの調査結果によると、ハリス氏の「好感度」は1週間前の35%から43%に8%アップしたのに対し、トランプ氏に対する「好感度」は逆に40%から4%下落し36%となった。 対象を「無党派層」に限定した同調査でも、ハリス氏の「好感度」は28%から一挙に44%に急上昇したのに対し、トランプ氏は35%から27%にまで下落、その差は17%も開く結果となっている。 さらに8月6日、公共ラジオ放送「NPR」と公共テレビ放送「PBS」が調査機関「Marist」と実施した世論調査結果によると、トランプ候補の支持率が48%だったのに対し、ハリス候補が51%となり、ついに3%の差で優位に立った。ハリス氏はバイデン撤退の後を受けて立候補を表明した2週間前と比べ、支持を4%も増やしたことになる。 同調査を行った責任者は、トランプ氏との形勢が逆転した主な背景として「黒人層それに大学卒白人女性層の支持が20%から30%も増えたことが大きい」と説明している。 ハリス陣営では、こうした勢いに加え、8月6日には、中西部の白人層の間で幅広い人望があるティム・ワルツ・ミネソタ州知事が副大統領候補に決まったことを契機に、大統領選の勝敗のカギを握るペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンなどの激戦州で、一段と攻勢を強めつつある。 6日、ワルツ副大統領候補とともに、激戦州の最初の遊説先であるペンシルベニア州フィラデルフィアの大演説会場に姿を見せたハリス候補は壇上で「農家の出身で公立学校教師、フットボール・コーチ、陸軍州兵卒、連邦議員の経歴を持つ中西部を代表するベテラン州知事」として最大級の賛辞で知事を紹介、1万2000人の支援者たちから万雷の拍手と歓声を浴びた。