「藤井聡太15歳の歴史的対局、記録係は伊藤匠だった」「順位戦終局が23時以降だと…」“記録係不足問題”の将棋界、リアルな日当・仕事量
日当は約7000円~1万円、タイトル戦はもっと高い
対局者が戦いを振り返る「感想戦」を見ることは、記録係や観戦した棋士たちにとって貴重な勉強の場である。 ただ記録係が未成年だったり自宅が遠い場合、対局立会人は終電車に間に合うように早く帰ることを促している。その判断は記録係の任意で、過去には感想戦を見るために将棋会館に泊まる場合もあったようだ。 記録係の日当は、夕方までに終わる棋戦(約7000円)から深夜に及ぶ順位戦(約1万円)と、持ち時間によって違う。後者を時給で換算すると、1000円を切ることにもなりそうだ。タイトル戦の記録料は、後者の金額よりもっと高い。 今年の名人戦では記録係は2人制となった。1日目と2日目で交代し、空いた片方は控室の研究に加わる。2日目の夕方からは、棋譜用紙の記入と消費時間の計測を2人で分担する。それは良いことで、約50年前までは2人制だった。
10年前より約780局も増加…“記録係不足”問題が
実は、最近のあるタイトル戦で1日目が終了すると記録係が体調を崩した。2日目は将棋連盟の関係者が臨時に務めたそうで、代行できる人がいたから事なきを得た。しかし、将棋会館の対局で深夜に記録係の体調が急に悪くなったような場合、果たして対局を続行できるだろうか……。 そんな事態が起きた例はいまだなく、それを想定した準備もされていない。記録係の存在の重要性を考えると、あらぬことをつい心配してしまった。 日本将棋連盟が発行する『将棋年鑑』の資料によると、2022年度の公式戦の総対局数は3776局(女流棋戦を含む)。2012年度は2994局。棋戦や棋士が増加したことで、10年前に比べて約780局も増えている。連盟はそれらの対局の棋譜をすべて保存してデータベース化しているが、近年は物理的に難しいのが現状である。 その要因は記録係の不足だ。 東西の奨励会員の総数は約185人(4月末日時点)。そのうち15歳以下の中学生と小学生は約50人で、義務教育中は記録係を免除される。中学生を除く15歳から19歳は約70人で、連盟は記録係を務めるように要請している。ただ終局が遅くなった場合、未成年の深夜業務になりかねない。残りの20歳以上の約65人では、絶対数が足りない感じだ。なお女流棋戦の対局の記録係は、基本的に女流棋士が務めるようにしている。
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