米大統領選はトランプ氏が勝利 今後の「金融市場への影響」を考える【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。
●トランプ氏が勝利し、共和党が上院多数派を奪還へ、トリプルレッドとなるか下院の結果が焦点に。 ●減税や財政支出の政策実現度は、トリプルレッドなら大幅に高まる一方、ねじれ議会なら低下へ。 ●この先は財政・外交・金融の各政策の見極めが大切、トランプ政権も2回目で市場には免疫あり。
トランプ氏が勝利し、共和党が上院多数派を奪還へ、トリプルレッドとなるか下院の結果が焦点に
米大統領選挙は11月5日に投開票が行われ、共和党候補のトランプ前大統領が激戦州とされる7州のうち、東部ペンシルベニアなど4州を制し、勝利を確実にしました。米大統領が再選失敗後に返り咲くのは、実に132年ぶりのこととなります。なお、米大統領選と同時に投開票が行われた米連邦議会選では、共和党が4年ぶりに上院の多数派奪還が確実な情勢となりました。 下院については、引き続き共和党が多数派を維持できるかが焦点となりますが、大勢の判明にはまだ時間がかかる見通しです。共和党が下院で多数派を維持できれば、「トリプルレッド」となり、トランプ氏の政策の実現度は大幅に高まることになります。一方、民主党が下院で多数派となれば、「ねじれ議会」となり、予算が必要な政策には民主党の協力を要するため、トランプ氏の政策の実現度は低下します。
減税や財政支出の政策実現度は、トリプルレッドなら大幅に高まる一方、ねじれ議会なら低下へ
つまり、下院の選挙結果次第で、政策の実現度が異なり、金融市場への影響も変わってくることになります。そこで、(1)大統領令でできる政策と、(2)議会の協力が必要な政策をまとめてみます。(1)について、大統領令は通商政策や移民政策、規制の改廃など幅広い分野に権限がおよび、トランプ氏の政策では、関税引き上げや不法移民規制の強化、金融・環境規制緩和が該当し、停戦交渉や軍事支援削減は、ウクライナ情勢や中東情勢にも影響します。 (2)は、税制改正や予算が必要な政策などであり、トランプ氏の場合、税制改革に関連するものとして、トランプ減税の延長や恒久化、法人税減税などがあり、予算を要するものとして、軍事費拡大、エネルギー産業や製造業支援、インフラ整備、メキシコ国境での壁の建設などがあります。そのため、ねじれ議会となれば、これらの政策を実行するためには、民主党の協力が欠かせないことになります。
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