清洲会議で秀吉が柴田勝家にプレゼンしたら…対立する相手を黙らす「パワポ資料」の準備方法
■「権力者の言葉」と「過去実績」で後押し 【羽柴秀吉】ちょっと待ってください。こちらの補足資料をご覧ください。 【羽柴秀吉】天正3年に信長公は長男の信忠様に家督を相続されており、織田家の正式な後継者とされました。そして、何かあった時はその子孫にするようにお話しされていましたよ。 【柴田勝家】待て待て! 家老の筆頭格であるワシが言うのじゃから、ここは織田家の後継者はやはり三男の信孝様じゃ。皆からの信頼も厚いぞ! 【羽柴秀吉】柴田殿、お待ちくださいませ。本能寺の変の後、貴殿は何をなさいましたか? こちらの補足資料をご覧ください。当方は知らせを聞き、即刻毛利との和睦を結び、すぐさま戻って謀反人の明智光秀を成敗いたしました。 これ以上、信長公への恩義に報いることがありましょうか? 柴田殿は北陸征伐中でそのまま北陸にいらっしゃったために、この弔い合戦には参加していないではありませんか。 今回の件については、序列よりも実際に何を成したかが重要だと考えます。 【柴田勝家】むむむ……。 【羽柴秀吉】他に異論がないようであれば、当方の掲げた案で進めたいと思います。後継者は三法師様で参りたいと存じますが、ご列席の皆様いかがでしょうか? 【柴田勝家】むむむ……。 【丹羽長秀】確かに、羽柴殿のお話には説得力がありますなぁ。 【池田恒興】私は最初から三法師様がよいと思っておりました! 【羽柴秀吉】では、皆様、ご異論がなければこれにて後継者は三法師様で参りたいと思います! よろしいですかな? 【三法師】は~い!
■勝てるプレゼンターが使うテクニック 今回は議事録の準備、事前展開、本編スライドは1枚サマリーで対応し、その補足資料に有識者や当事者の意向、自分たちのポジションなどを図解したものを用意しました。プレゼン資料は会議の中で使われるツールの1つです。したがって、ツールばかり磨いても、勝てるプレゼンターにはなり得ないのです。 想定される質問や意見に対する答えを想定し、それに対応できるデータや資料を準備しておけば、議論の正当性が担保され、相手を説得できるプレゼンに近づきます。 では、ここで使ったテクニックを見ていきましょう。 1 アジェンダの準備が成功の鍵 今回の清洲会議ではそもそも ・いつ ・誰が参加して ・何を決めるのか? ゴール設定を最初にしています。これは会議の基本です。会議は、このようなアジェンダを明確にした上で開催しましょう。 結局何を決めたいのかわからないままスタートする会議は何も決まりません。最初にゴールを握った上で、相手と議論を行わなければ、それは会議とは言えないでしょう。 ■会議の主催者になり、主導権を握る 今回は、秀吉が主導権を取って、アジェンダやサマリーも用意しています。 完全に秀吉のペースで会議が進んでいますね。会議の主催者及び資料の作成者は優位にその会議を進めることができます。 ですから、必ず会議の主催者となること。 手間はかかりますが、その分自分たちの思った方向に議論をドライブしていくことも容易くなります。 このアジェンダはビジネスシーンでは事前に会議通知を関係者にメールで送ることからスタートします。メールで送る時点で、 ・開催日時 ・会場 ・参加者(参加者にはそれぞれどういった見解を求めるのかを明記しておく) ・目的・ゴール ・会議のタイムライン ・当日の資料 が最低限明記されているとスムーズな会議進行が可能です。大事なのはプレゼンを使い、その会議で必ず合意形成して、アクションを勝ち取ることです。