「忍たま乱太郎」ドクタケ忍者隊は悪なのか? 組織とその構成員たちを“アク”の強さから紐解く
「劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師」が、12月20日(金)より公開される。「忍たま乱太郎」は、尼子騒兵衛の「落第忍者乱太郎」を原作にしたテレビアニメ。忍者のたまご略して“忍たま”たちが、稗田八方斎(ひえたはっぽうさい)率いるドクタケ忍者隊の悪だくみを阻止しようと奮闘する姿を描く。テンポ感の良さと笑いの塩梅が絶妙な本作だが、今回の新作映画は普段の「忍たま」とはひと味違ったシリアスな展開が待ち受けているという。 【動画】天鬼の正体が土井先生だと明らかになる衝撃的な本予告 そんな新しい「忍たま」映画の公開に先駆けて、本作のサブタイトルにもなっている“ドクタケ忍者隊”について、ドクタケ忍者隊という組織とその構成員たちを紹介したい。 そもそもドクタケ忍者隊とは、ある意味「忍たま乱太郎」の裏主人公と言っても過言ではないぐらい、悪巧みをする敵として毎度のように登場する。1996年に公開された一作目「映画 忍たま乱太郎」でも、園長に頼まれて輸入した硝石を運ぶのを手伝っていたしんべヱと団蔵たち一団をドクタケ忍者隊が急襲し眠らせて、硝石を強奪していた。つまり物語の起爆剤となっているのが、彼らだ。 ■ 稗田八方斎(ひえたはっぽうさい) 戦好きなドクタケ忍者隊の首領。忍術学園の宿敵で、 ドクタケ忍術教室の校長先生。弱点は、頭がでかすぎて重いため、ひっくり返ると自力では起き上がれないこと。ドクタケ城主木野小次郎竹高のために悪巧みをするが、うまくいかないことばかり。 「映画 忍たま乱太郎」(1996年公開)でも、八方斎はその奪い取った硝石を火薬として使うのではなく、中国の秘薬・軽身剤の材料に使おうとしていた。軽身剤とは飲めば空を自在に飛ぶことができるという幻の薬で、もしそれが八方斎の手に落ちたら、日本はおろか、世界が彼らの支配下におかれることになる。非常にいいところまでは行ったのだが、まさかのオチが待ち受けていた。 ある意味、乱太郎たちとの相性が良く、なんだかんだいつも彼らに弄ばれた末に派手に散っていく印象だ。毎回、極悪ヅラではあるものの、なんとも憎みきれない可哀相さとチャーミングさを持ち合わせている。 ■木野小次郎竹高(きのこじろうたけたか) 天下取りを夢見てあちこちに戦を仕掛ける、戦好きなドクタケ城の城主。 馬が苦手ですぐに落馬してしまうため、いつも張り子の馬に乗っている。自ら発する「パカラ、パカラ…」というひづめの音がご愛嬌…という公式紹介文にもあるように、正直見た目が非常にマヌケである。 基本的には八方斎が目立っているため、そこまで酷い目にも合わないが、個人的には「忍たま乱太郎」の中で最もアホなビジュアルと言動をしているように思う。だからこそ、悪城主でありつつも“アク”は強いが“悪”感は薄く、「忍たま乱太郎」のポヤポヤした温かい世界観を壊さない。それどころか笑いのスパイスにもなっている。 ■他にもいるぞ!ドクタケ忍者隊 他にもドクタケ水軍創設準備室室長・キャプテン達魔鬼(たつまき)をはじめ、ドクタケ忍者には風鬼(ふうき)、雷鬼(らいき)、雨鬼(うき)等もいる。彼らは悪であり敵であるもののドタバタしていておっちょこちょい。失敗続きでしょぼんとする姿は、実に愛くるしい。 ゆえに勧善懲悪ものではあるが、テンポの良い笑いが「忍たま乱太郎」の魅力の一つ。そのギャグ感を強めているのが、彼らドクタケ忍者隊だ。 ちなみにドクタケ忍者の一部は、なぜか天気の名前なんだなと思っていたら、今作「劇場版 忍たま乱太郎ドクタケ忍者隊最強の軍師」では、ドクタケ忍者隊の軍師・天鬼(てんき)もその仲間として参戦。まさにテンキという名前からして“最強の軍師”であることが予想される。また、タソガレドキ忍軍の忍び組頭・雑渡昆奈門(ざっとこんなもん)と、彼の忠実な部下で土井先生をライバル視しているタソガレドキ忍者・諸泉尊奈門(もろいずみそんなもん)も活躍。 タソガレドキ忍軍は、2011年に公開された「劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段」でも、キーマンとなっていた。 一年は組の“忍たま”たちから「クソタレガキ城のちょっと粉もんさん」等と言われてしまう雑渡昆奈門だが、その実とても優秀な忍者で部下からの信頼も厚い。合戦場で、敵味方の区別なくケガの手当てをしてくれた忍術学園六年は組にして保健委員会委員長の善法寺伊作に恩義を感じて以来、忍たまには好意的で「劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師」でも土井先生の代わりに一年は組の授業を受け持ってくれている。 忍術学園だけでなく、ドクタケ忍者隊、そしてタソガレドキ忍軍まで絡み合う「劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師」。アニメではなかなか見られないキャラクターたちもたくさん登場し、見応え抜群であること間違いなし。果たして、ドクタケ忍者隊は今回、どんな卑劣な手を使って、忍術学園側引いては世間に悪さを仕掛けてくるのか…そのシリアス展開に注目だ。 構成・文=戸塚安友奈