「アライバ」も認める紅林弘太郎 日の丸背負った22歳の成長曲線
元オリックス球団職員で、現在はフリーアナウンサーの大前一樹さん(63)と、朝日新聞スポーツ部のオリックス担当・高橋健人記者が対談する「オリいったお噺(はなし)」。今回は紅林弘太郎選手についてです。 【写真】「関係ねえ」は「恥ずかしい」。甘党・宮城大弥が控えたクッキー 高橋 24日まで行われた野球の国際大会「プレミア12」。オリックスからは唯一、紅林選手が日本代表「侍ジャパン」の一員として参加し、遊撃手と三塁手でそつのない守備や勝負強い打撃を見せました。昨年11月のアジアプロ野球チャンピオンシップはけがで辞退したので、ようやく日の丸を背負う姿を見ることができました。 大前 選出した井端弘和・日本代表監督と中日時代に二遊間を組んだ荒木雅博さんに紅林選手の評価を聞いたことがあります。「他球団にはないスケール感の大型ショートで長打もあって逆方向の右にもうまく打てる。次世代を背負っていける」って。2004年から6年連続でゴールデングラブ賞を取った「アライバコンビ」が認めているのはすごい。 高橋 静岡・駿河総合高から19年秋のドラフト2位で入団した22歳です。ここまでの成長曲線をどう見られますか? 大前 毎年、2歩下がって3歩進む感じ(笑)。でも順調にきていると思いますよ。1年目は毎日のように2軍の試合に出ていたけど、守備範囲が狭い印象で、難しくない打球をうまく処理できないこともあった。そこから2年目の春季キャンプで打球を遠くに飛ばす打ち方に変えて本塁打を打ってアピールして、中嶋さん(前監督)に見いだされた。当時、遊撃手には安達了一選手(今季で現役引退)がいたので、レギュラーで定着していくなんて夢にも思わなかった。その期待に応えたっていうのがすごい。 高橋 5年目の今季は136試合で2本塁打、38打点、打率2割4分7厘。後半は調子を落としましたが、クリーンアップも任せられるシーズンでした。 大前 本塁打2本で終わるような選手じゃない。勝負強さは今年もあって、打率の割にはお立ち台に立つ数って多いんですよね。 高橋 性格的にどんな状況にも左右されず、実力を出せるタイプです。 大前 鈍感力とかよく言われるけどね(笑)。その彼が一流の選手たちと世界で戦い、その空気をチームに持って帰ってくれたらいいな。 日本代表の遊撃手としてはまだ源田壮亮選手(西武)の後をついていく感じだけど、26年にワールド・ベースボール・クラシック(WBC)、28年にはロサンゼルス・オリンピックがある。その時には内野の要として引っ張っていく存在になっていてほしい。
朝日新聞社