エディブルフラワーで「推し活」 食べられる花、イメージに合わせて
見た目華やか キャラクターと一緒に
エディブルフラワー(食べられる花)を使ったスイーツの人気が高まっている。華やかで「映える」見た目に加え、特有の香りや食味を楽しめることから、交流サイト(SNS)で投稿が相次ぐ。近年流行する「推し活」でも、好きなキャラクターやアイドルと、そのイメージに合うエディブルフラワーのスイーツを一緒に撮影する、新たな消費行動も広がる。 【画像】ビオラのフレンチトースト「春待ち花かんむり」と香り高い「いちごと薔薇のパフェ」 パーク・コーポレーションが展開する花をコンセプトにしたカフェ「青山フラワーマーケット グリーンハウス」(東京・南青山)では、エディブルフラワーのメニューを多数提供する。SNSを活用する20、30代の女性が来店客の7割を占める。季節感のある限定メニューも人気で、2月末まではビオラを載せたフレンチトースト「春待ち花かんむり」(1650円)を販売。好きなキャラクターの縫いぐるみとメニューを一緒に撮影するなど、見た目の良さを生かした自由な「写真映え」を楽しめる。
レシピ本も
東京・池袋の「HANABAR(ハナバー)」は、ビオラやバラ、マリーゴールドなどを使用した「お花のクリームソーダ」(1500円~)が看板メニュー。バニラアイスやソーダの甘味と、爽やかな花の香りが相性抜群。好きな色でソーダを作れ、同系色の花を添えてくれるのが好評だ。応援するキャラクターやアイドルのイメージカラーに合わせられるので「推し活」をするお客の来店も少なくない。 同店の油井奈々オーナーによると、今春に大手出版社からレシピ本の発売が決まり、「2017年の開店時よりもエディブルフラワーの浸透が進んでいる」という。
食材としての魅力も浸透
野菜や果実と同等に食材としてエディブルフラワーを扱う動きにも注目が集まる。 デザートと日本茶のペアリングが楽しめる東京・神楽坂のデザートコース専門店「VERT(ヴェール)」は、さまざまな調理方法で花の香りや味を引き出すスイーツが人気。バレンタインデー期間は百貨店の松屋銀座で「いちごと薔薇(ばら)のパフェ」(3850円)などを店頭販売する。香り高いバラを生食、アイス、ジャムの3通りで扱い、食感や味の違いを楽しめる。オーナーパティシエの田中俊大氏は「品種によって特有の香りや甘味、酸味などがあり、食材として魅力的」とエディブルフラワーについて話す。 エディブルフラワーの扱い量が国内最多の豊橋温室園芸農業協同組合によると「SNSの台頭で特にスイーツ、洋食向けの引き合いが強まっている」(エディブルフラワー部会の渡辺道晴部会長)。需要の広がりで近年は品種や色の指定など、産地へのニーズが細分化しているという。園芸向けに比べて、栽培の手間はかかるが、通年で需要があり、高単価販売が期待できると利点を上げる。(菅田一英)
日本農業新聞