復興の願い乗せ乱舞 輪島の重蔵神社 金沢で初、みこし巡行
●避難住民も飛び入り 能登の復興を願う祭りばやしが夜の城下町に響き渡った。能登半島地震で被災した重蔵神社(輪島市河井町)の「能登復興キリコ大祭」が17日、金沢市中心部で行われ、同神社のみこしと輪島などから集まったキリコ5基がまちなかを乱舞した。金沢に2次避難中の住民も飛び入り参加し、心のより所であるキリコをともに担いで気炎を上げた。 重蔵神社の夏季大祭は輪島大祭の一つに数えられ、例年は20基余のキリコが地域を練る。 元日の地震で拝殿や社務所が全壊したため今年の大祭の自粛を考えていたところ、ご神体を一時避難させていた石浦神社(金沢市本多町3丁目)から「金沢でやってはどうか」との提案があり、みこしとキリコの「出張」が決まった。重蔵神社によると、みこしが輪島市外に出るのは初となる。 しいのき迎賓館の緑地に同神社のみこしと輪島市のキリコ4基、志賀町大西地区のキリコ1基が集結。石浦神社で復興祈願祭が執り行われた後、にぎやかな祭りばやしに乗せて巡行に繰り出し、お堀通りに高さ4~6メートル余のキリコの明かりが連なった。 重蔵神社のみこしは能登で有数の大きさを誇り、輪島から駆けつけた有志のほか金大ボランティアさぽーとステーションの学生など約100人で担ぎ上げ、「ヨーイ、ヨーイ」の掛け声に合わせて通りを進んだ。 朝市通りの火災で自宅が全焼した畑中季(とき)さん(57)=輪島市河井町=は、愛用の祭り笛を失ったが、地元の太鼓グループから譲り受けた笛を吹き鳴らしてキリコに随行した。現在は金沢市内のみなし仮設住宅で高校生の息子と暮らす畑中さんは「能登の人間にとって祭りはやっぱり特別。多くの人の支えがあり、こうして笑い合えることに感謝したい」と感無量の表情を見せた。 同神社禰宜(ねぎ)の能門(のと)亜由子さん(48)は「多くの協力で祭りができたことをありがたく思う。これを機に能登のことを考える人が増えればうれしい」と話した。