ついに失われた「40年」へ突入するのか…「トランプ再選」で日本のお家芸・自動車産業が大ピンチを迎える理由
■「またトラ」で世界はどうなってしまうのか 11月5日の米大統領選挙で、共和党のドナルド・トランプ氏が民主党のカマラ・ハリス現副大統領に勝利した。事前には接戦になると予想されたが、ふたを開けてみると激戦の7州すべてでトランプ氏が勝つなどほぼ圧勝だった。その翌日のアジア時間、トランプ氏勝利が伝わると、減税の延長期待などを背景に、米国株を含め世界的に株式市場は堅調な展開になった。 【この記事の画像を見る】 トランプ氏は、基本的に関税の引き上げを重視しているようだ。同氏は自らを“タリフ・マン(関税男)”と称している。特に、中国に高い関税を課す可能性は高い。農業機械メーカーの米ジョン・ディアーにも、海外生産を増やせば輸入品に高関税をかけると指摘した。 関税引き上げで、米国のインフレ懸念は再燃する可能性がある。日米金利差の拡大観測は増え、ドル高・円安が加速することも考えられる。エネルギー資源などの価格動向次第で、わが国の輸入物価が上昇し、個人消費の下振れ懸念が高まる展開も想定される。 ■政策をディール=取引とみなしているが… また、同氏の積極財政政策で米国の国債発行が増え、米連邦財政の悪化懸念も高まるだろう。今すぐではないが、いずれかの段階で金利上昇が進み、米国の個人消費に息切れ感が出る不安もある。トランプ氏の通商政策は、わが国をはじめ世界全体の経済環境を大きく変化させることが懸念される。 トランプ氏の前回の政策運営などから、同氏の言動は予測することが難しく、政策の先行きは読みにくくなるだろう。それは、企業や投資家のリスクテイクを抑圧する要因になることも考えられる。 また、トランプ氏は政策を“ディール=取引”としてみているようだ。政策とは、経済社会全体にかかわる問題を解決し、あるべき状態を目指す合理的な方策をいう。同氏は各国に圧力をかけ、米国の利益を最優先するよう譲歩を引き出そうとしている。そこに違和感を持つ経済専門家も多い。