「短縮も…台風との戦いです」 “豆腐グリーン”と“ランがゼロ”のコースで生きるのは聖地での経験?【大西翔太のSHOWTIME】
国内女子ツアーは、北海道から岐阜に場所を移し「ゴルフ5レディス」が開催される。毎年コースが変わるサーキットトーナメントは、今年はGOLF5カントリー みずなみコースが舞台になる。一番の懸念点は“天気”になりそうだが、そんな“嵐の大会”の展望を青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務め、今週はゴルフネットワーク『とことん1番ホール生中継』で解説を務める大西翔太氏が占う。 櫻井心那がバッサリ! ニューヘアで登場【写真】 ■飛ばし屋有利の展開に? 日本列島を“史上最強クラス”とも呼ばれる大型の台風10号が襲うなか、今大会は開幕する。当然、その影響は避けられなさそうだ。すでにプロアマが行われた29日もコースは雨が降りしきる状況で、初日、2日目も強い雨になることが予想されている。大西氏も、「短縮競技になる可能性が大です。下手すれば1.5ラウンド程度しかできないケースも考えられます。なんとか競技成立してもらいたいですね」と、その表情を曇らせる。 もともと、みずなみはグリーンのアンジュレーションが強いことが特徴。それを踏まえてパター巧者が有利と考えられる。しかし、今年は雨の影響でコンディションも安定しない。「グリーンキーパーの方と話したら、グリーンが豆腐のように軟らかいという声も聞こえてきました」。こんな情報も明かす。 フェアウェイの状態も大西氏を驚かせた。「開幕前日の段階で、ランがゼロでした。ボールが埋まる、と言えばいいんでしょうか」。飛距離面で頼りになるのはキャリーのみ。こうなると一気に“飛ばし屋有利”という構図になってくる。 ■全英で味わった強風が生きる? そんな雨だけではなく強風も予想される今回の大会で、活躍が期待される選手を聞くと、すぐに先週のスコットランドで、リンクスに吹く強風のなかプレーした選手たちの名前が挙がる。「日本よりもさらに寒い風のなかでの経験が生きてくるはずです」。すぐに英国で学んだことが発揮できる舞台が用意される。 最初に大西氏が口にした名前が「川崎春花選手」。7月以降で3勝を挙げ、絶好調のなか急きょ出番が舞い込んできた全英でも予選を通過し、4日間を戦い切った(最終成績は55位タイ)。「状態はいいですよね」という印象は今週も変わらない。 また、前年覇者の櫻井心那も注目するひとりだ。昨年は北海道のゴルフ5カントリー 美唄コースで開催と場所は違えど、ディフェンディングチャンピオンとして臨む大会で、気持ちも強い。「キャリーも出ますし、調子が上がっているという話も聞くことができています。全英の経験が櫻井選手の背中を押すのではないでしょうか?」。今季は21試合でトップ10が3度のみと苦しい時間も続くが、ここが浮上のきっかけになる可能性も考えられる。 そしてもうひとりが佐久間朱莉。やはり“聖地”で週末まで過ごした選手だ。「距離も出てますし、練習場で見た状態もいい。自信も感じますし、初優勝もあるのではないでしょうか」。今季は2位が3度と、悲願まであと一歩という試合が続いている。岐阜でその連鎖を断ち切りたい。 もちろん今季4勝の竹田麗央や、2020年にこのみずなみで優勝している小祝さくらも本命に挙がる。「風の影響をプラスに働かせる」。やはりここが重要ポイント。とはいえ、競技ができることが前提条件にはなるが…。「台風との戦い。短縮競技になることも考えながら、1ホール1ホール覚悟を持ったショットで戦ってもらいたいですね」。日曜日に、どんな結末が待ち受けているのだろうか? 解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。