タコが価格高騰でマグロより高い!? たこ焼き店は悲鳴「2倍超」【WBSクロス】
タコの「完全養殖」
止まらないタコの価格高騰。こうした状況を打破するための研究が日本で行われています。 東海大学の静岡キャンパスは水生生物の養殖技術を研究しています。養殖の研究が進められているのはタツノオトシゴ。漢方薬の材料になるのだといいます。 たこ焼きに使われることの多いマダコの養殖も。ただ、課題もあります。 「一つの水槽でたくさんのタコを飼うと、喧嘩して弱いものが外に出てしまう。それで干からびて死んでしまう」(「東海大学」海洋学部水産学科の秋山信彦教授) タコは縄張り意識が強く、共食いをすることも。負けたタコが吸盤で生けすを登り脱走することもあるといいます。
そこで開発したのが、タコのシェルターです。4枚の板を並べて作ったシンプルなものですが、これを水槽に沈めると、早速タコがやってきてスルスルと入っていきます。隣の部屋にも別のタコが入ります。 「けんかしない。理由はわからない。タコに聞かないと分からない」(秋山教授) このタコシェルターは特許を取得。タコの共食いや脱走がなくなったことで、一つの水槽でタコを大量に飼うことが可能になりました。 タコの餌は魚の肉などから作った人工の物。エビやカニ、貝などを好むタコですが、養殖の事業化に向け、価格を抑えた餌の開発も進めています。現在は海で捕まえたタコを大きく育てていますが、今後は研究所で卵の孵化から幼生を成体に育てる技術を確立させることが課題です。 東海大学は「築地銀だこ」の運営会社などと研究を進め、2030年までの事業化を目指しています。 一方、養殖には逆風も。アメリカのカリフォルニア州などでは「タコは知性の高い生き物だ」として養殖を禁止する法律が成立。動物愛護の観点から批判も出ているのです。 「人間が利用する部分は、人間が管理したところで必要量を生産できる。タコという食材が持続的に、それも外国から輸入しなくても国内生産でスーパーに並ぶぐらいの金額で販売できるようになればいい」(秋山教授) ※ワールドビジネスサテライト