高速のカーブが走りやすいのはアウトバーンゆずりの大発明のおかげ! 誰もが知らずに恩恵を受けている「クロソイド曲線」とは
カーブを誰でも自然と走り抜けられるのは計算の上
クロソイド曲線、という言葉を耳にしたことはないだろうか? 高速道路のカーブを設計するにあたって用いられる曲率のことで、コーナー入り口の曲率が大きく、奥に行くにしたがって曲率が小さくなる曲線(道路形状)のことを指す。じつは、このクロソイド曲線で作られたカーブは多く存在するが、走っていて進入時の曲率が大きく、奥で小さくなっていると自覚できる人はほとんどいないだろう。 【画像】死亡事故率ナンバー1ともいわれる西日本エリアの国道 逆にいえば、カーブの進入時に無意識で操作したステアリングの操舵量や車速コントロールのアクセル開度で、そのまま走り抜けられている。これがクロソイド曲線で作られたカーブの特徴で、もしもカーブを一定の曲率で作った場合、カーブを曲がりながらステアリング操作やアクセル開度の調整が必要になってしまうのだ。 もう少し詳しく説明すると、直線路からカーブに進入。この場合、カーブの曲率に合わせてステアリングを切り(操舵)、アクセル開度も合わせて走ることになるが、この運転操作を維持したまま、まわりきれるカーブの形状が、クロソイド曲線ということである。 このクロソイド曲線によるカーブが初めて用いられたのは、第1次世界大戦後に国家事業として建設されたドイツのアウトバーンである。ヒトラー政権下で作られたアウトバーンは、路面を堅固なコンクリート舗装として非常時に飛行機の滑走路として使うことを可能にしたり、自動車による最高速度の挑戦が可能なテスト路としての許容性能を備えるなど、時代を大きく先取りした自動車専用道として作られていた。 日本の道路では、日本初の高速道路となった名神高速道路で取り入れられたが、この考えをもち込んだのはアウトバーンの建設に従事したドイツ人技術者だった。このクロソイド曲線は、自動車道だけではなく曲率の小さな地下鉄なども用いられているという。
本来の目的とは逆の設計でも違和感なし!?
ところで、このクロソイド曲線の走りやすさ、走りにくさに関して、ひとつ不明なことがある。 現在、東名高速の下り線、大井松田ICから御殿場IC手前の区間まで、右まわりルート、左まわりルートで計4車線の道路となっているが、右まわりルートは旧上り線の2車線道路を転用したものになっている。 おそらく、ここでもクロソイド曲線のカーブが設けられているのは間違いないが、かつての上り線を下り線に転用したということは、クロソイド曲線は「逆クロソイド曲線」となって走りにくくなるはずだが、実際走ってみると、さほど走りにくさは感じられず、どのカーブも自然な操作で走り抜けることができる。しかし、上り線から下り線に転用となった際、カーブの曲率改修工事を行ったという話は聞いたことがない。 カーブというと、直線から一定の曲率を持った曲線路のつながりを思い浮かべるが、この形状は実際には走りにくく、逆に入口の曲率が大きく、旋回するにしたがって曲率が小さくなるカーブのほうが、自然な操作、感覚で走ることができるというのは、なんともおもしろい。 意識は安全運転に集中してほしいが、高速道路を走る際、大きくまわり込んだカーブがクロソイド曲線なのか、ちょっと考え感じてみるのはどうだろうか?
大内明彦