ドラマであった「悪いが今日限りで君を解雇する」というシーン。実際にはあり得る?あり得ない?
ドラマの登場人物が会社の上司から「今日限りで解雇する」と言い渡されているシーンを見たことがある人もいると思います。実際に即日解雇された場合、労働者は路頭に迷ってしまうことになるはずですが、このようなことはあり得るのでしょうか。 本記事では、労働契約の終了に関するルールとともに、即日解雇できるケースについてもご紹介します。
労働契約の終了に関するルールとは?
厚生労働省によると、企業が労働者を解雇することは自由にできるものではありません。労働契約法第十六条にも「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」とあるように、解雇するにはそれなりの理由が必要です。 また、たとえ合理的な理由がある場合でも、少なくとも30日前には解雇予告を行う必要があります。もし事前に予告せず解雇するのであれば、企業は労働者に対して30日分の平均賃金を解雇予告手当として支払わなければなりません。 例えば、実際に解雇する20日前に予告した場合は、10日分の平均賃金を支払うことになります。
実は「即日解雇」できる場合もあるって本当?
事情により企業が「解雇予告除外認定申請」を行い、労働基準監督署長の認定を受けた場合は、事前予告がなくても労働者を解雇することが可能な場合があります。 具体的には、以下のような2つのケースです。 ■天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能な場合 「天災事変その他やむを得ない事由」とは、事業場が火災により消失したり、震災により倒壊したりしたことで、事業の継続が不可能になった場合があてはまります。 ただし、事業場の中心となる建物や設備などが被害を免れ、すべての労働者を解雇しなくても再開復旧が見込める可能性がある場合は「事業の継続が不可能」とは判断できません。その場合は、解雇予告除外認定されない可能性があります。 ■労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合 「労働者の責に帰すべき事由」には、具体的に以下のようなものが該当します。 ●事業場内において盗取、横領、傷害等刑法犯に該当する行為があった場合 ●職場規律を乱し、事業場の名誉や信頼、取引関係に悪影響を及ぼす場合 ●経歴の詐称があった場合 ●ほかの事業場に転職した場合 ●2週間以上、正当な理由なく無断欠勤した場合 ●数回にわたって注意を受けても出勤不良を改めない場合