「台湾を中国から切り離そうとする者は粉々に打ち砕かれる」シャングリラで見た中国の強硬姿勢…国際会議で質問無視の独演会
フィリピン・マルコス大統領の演説に中国軍人が猛反発 会場に緊張感走る
31日夜、会議の開幕を祝うオープニングレセプションの後、南シナ海問題の“当事者”であるフィリピンのマルコス大統領が基調講演を行った。 マルコス大統領は中国を念頭に、「南シナ海の安定が武力や威嚇、根拠のない主張によって損なわれている」と批判した上で「主権を守るためなら何でもする。屈するつもりはない」と強調した。 中国の脅威と自国の正当性を主張する演説は、マルコス大統領の「決意」を感じさせるものだったが、講演後に真っ先に質問に立ったのが中国人民解放軍の少将だった。 少将は「最近のフィリピンの行動は相手側の心地よさを考えていない」とフィリピン側をどう喝し、会場に緊張感が走った。 これに対しマルコス大統領も、別の質問者からの「フィリピン側に死者が出たらどうするか」との問いに「わたしたちが定義する戦争行為に極めて近い」と説明し、相互防衛条約を結ぶアメリカとともに反撃する可能性を示唆するなど対決姿勢を示した。 中国とフィリピンの2カ国会談は期間中開催されず、対立の先鋭化が感じられた。
中国・董軍国防相 演説後の質疑にほぼ答えず 自国の論理を延々と展開
会議最終日の2日には、去年末の就任後本格的な外交デビューとなる董国防相の演説が行われた。 演説で董国防相は、台湾問題について「外部勢力のせいで平和統一の見通しが損なわれている」と述べ、関与を強めるアメリカを念頭にけん制した上で、「台湾を中国から切り離そうとする者は必ず粉々に打ち砕かれ、自ら破滅を招くだろう」と強い言葉を並べた。 また南シナ海問題では「自制を保ってきたが、限界がある」と述べ、フィリピンへの不満を口にした。 象徴的だったのは演説後の質疑応答だ。 董国防相は会場から出た質問の多くに真正面から答えず、代わりに台湾や南シナ海に関する主張を延々と展開した。司会者に「質問に答えて欲しい」とたしなめられても譲らず、中国の強硬な姿勢が目立った。
ゼレンスキー大統領が異例の中国批判「プーチン氏の道具になっているのは残念だ」
今回の会議には、ウクライナのゼレンスキー大統領が飛び入りで参加した。 1日夜に会場に到着後、早速各国の国防相などと会談しFNNの取材に「ここで会談ができてうれしい」と対面での初参加が実現したことに感謝を述べた。 翌2日には基調講演を行い、ロシアの侵攻を批判するとともに、6月15日からスイスで開かれ自らが提唱する和平案を話し合う「平和サミット」への参加を呼びかけた。 驚いたのはその後に開かれた記者会見で、これまで表舞台では控えてきた中国の批判を展開したことだ。 ゼレンスキー大統領は「平和サミットへの欠席を表明している中国が各国に対して参加しないよう働きかけている」と述べた上で「中国のような独立した強力な大国が、プーチン氏の道具になっているのは残念だ」と強調した。 ウクライナ国内でロシアが攻勢を強める中、軍事侵攻に「理解」を示している中国をけん制したものとみられる。