【ロード・オブ・ザ・リング】神山監督が語る『ローハンの戦い』の見どころ!
手描きの凄みを体感できる騎馬戦
――神山監督オススメの見どころについてお聞かせください。 神山 やはり2000騎の騎馬兵とムマキルを率いたダンレンディング兵との合戦シーンには注目してほしいですね。日本のアニメの歴史の中でも、これだけの軍勢が登場する騎馬戦を手描きでやったことは、いままでにないと思うんです。細かいディテールが施された甲冑を身につけた騎士たちが、乗馬とともに一斉に戦場を駆けて戦う迫力の映像が展開されているので、「これを全部手で描いているんだ」という凄みを感じとってもらえるはずです。 ――籠城戦も見どころ満載ですね。 神山 籠城戦は映画三部作にはない城攻めのギミックを登場させています。三部作でも攻城兵器のアイデアはいくつもありましたが、本作の攻城櫓のアイディアを製作総指揮のピーター・ジャクソンも「面白い」と喜んでくれていたので。ただ新しいアイディアというだけでなく攻城櫓の存在自体が主人公たちの危機を伝えるタイムレース的な要素にもなっていますので、そういったところも楽しんでもらえたら嬉しいです。 ――映画三部作のファンの方には、どういったところを楽しんでほしいですか? 神山 WETA(WETAデジタル。『ロード・オブ・ザ・リング』三部作を手掛けたVFXプロダクションのスタジオ)が全面協力してくださったので、実写三部作の映画の設定と全く同じものを共有しています。映画三部作のファンの方々に「これは!」と驚いてもらったり、見つけてニヤッとしてもらえるようなシーンが、そこかしこにありますので、そういった細かい部分もぜひチェックしてほしいですね。 ――『ロード・オブ・ザ・リング』作品を初めて観る人にもメッセージをお願いします。 神山 『ロード・オブ・ザ・リング』の映画を観てないという人にも、一本の映画として成立するように意識しながら作りました。ヒロインのヘラに視点を置いてみることで、どこかの国の昔話として、またその時代を生きた割と現代的な女性を描いた物語として、この映画を楽しんでもらえたらと思います。 【PROFILE】 神山健治(かみやまけんじ) 3月20日生まれ。アニメーション監督、脚本家、演出家。主な監督作品はTVアニメ『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズ、『精霊の守り人』、『東のエデン』。映画『ひるね姫~知らないワタシの物語~』、『009 RE:CYBORG』ほか。
ライター 川畑剛