ウィル・タケット演出「イノック・アーデン」に田代万里生・中嶋朋子ら
田代万里生、中嶋朋子ら出演する「イノック・アーデン」が、来年3月7日から16日にかけて東京・新国立劇場 小劇場にて上演される。 【画像】「イノック・アーデン」ティザービジュアル 「イノック・アーデン」は、アルフレッド・テスニンの“物語詩”。愛する人を待ち続ける妻と、その期待に応えようとする男、夫を待つ女性を愛しつつ友情と愛情の狭間に揺れる幼なじみの男という3人の登場人物を巡る、愛をテーマにした物語だ。今回は、この詩にインスパイアされたリヒャルト・シュトラウスの楽曲、ウィル・タケットの演出により、言葉とダンスで作品を立ち上げる。出演者には田代、中嶋のほか、東京バレエ団の秋山瑛、生方隆之介、南江祐生とピアニストの櫻澤弘子が名を連ねた。 上演に向けてタケットは「この作品のテーマが何であるか、一言で説明することはできないと思いますが、この作品には3人の主人公がいて、このトライアングルには3つのテーマがあると思います。それは愛についてであり、また忠誠心についてであり、さらにそこには互いに対する責任(義務)、誰かの子供に対する責任、神に対する責任……、それらすべてに対する責任(義務)もあると思います」「このテーマは時代を越え、私たちの人生で常に与えられているタイムレスなテーマであると思っています」とコメント。 田代は「尊敬する中嶋朋子さんとの再共演、そして個人的には初めて本格的に向き合う、東京バレエ団とのコラボレーションや、櫻澤弘子さんのピアノの調べによるリヒャルト・シュトラウスの音楽。そして、ウィル・タケットさんの演出、アンディ、マッセイさんの音楽監修・編曲・追加曲作曲、ニナ・ダンさんの美術・映像など、グローバルなクリエイター陣との出会いも楽しみにしております」と期待を述べる。 中嶋は「『言葉』が言葉を超え、情感が言葉と成り得るか──」「語られるべき、受けとめられるべき『言葉』が、想像という大いなる海を内包し、劇場という空間に満ちた時、『物語』は、物語られるものから、私たち自身の命を紡ぐものへと姿をかえるのです。本公演は、作り手、観客双方にとって、そんな、大いなる想像の海に漕ぎだす、またとない機会であるに違いないのです」と作品への思いを語った。 タケット、田代、中島のコメント全文と秋山、生方、南江のコメントは以下の通り。本公演の一般前売りは来年1月18日にスタート。 ■ ウィル・タケット コメント この作品はシュトラウスの音楽とテニスンの詩を合わせた作品です。 今回の上演に際しては別のシュトラウスの楽曲をいくつかアンダースコアとして追加しています。 このようなスタイルの作品をつくることはもともと好きですし、「物語」を語る方法としてとても好きです。なぜなら、それはダンスが好きなバレエファンだけの為でも、演劇好きな人たちだけの為でも、音楽好きな人たちだけの為でもないからです。そのような人たちすべてにとっての何かがあり、さまざまな力が合わさって、とても興味深い異なったハイブリッドな作品になっていると思います。この作品のテーマが何であるか、一言で説明することはできないと思いますが、この作品には3人の主人公がいて、このトライアングルには3つのテーマがあると思います。それは愛についてであり、また忠誠心についてであり、さらにそこには互いに対する責任(義務)、誰かの子供に対する責任、神に対する責任……、それらすべてに対する責任(義務)もあると思います。 そのトライアングルは、時には愛が損なわれると義務や忠誠心が引きずられ、また愛が戻ってくると、義務は存在しなくなり、しかし忠誠心に引きずられたり……。この絶え間ない緊張と三角関係(愛、忠誠心、義務)が密接に関わり、繋がっています。しかし、実はそれぞれが非常に異なってもいます。このテーマは時代を越え、私たちの人生で常に与えられているタイムレスなテーマであると思っています。 ■ 田代万里生 コメント これは、イノック・アーデンという男の「愛の物語」です。 今回の翻訳・原田宗典さんによる一般発売中の書籍「イノック・アーデン」を手に取ってみたところ、あまりに共感する物語と登場人物たち。そして美しい日本語による詩的な世界観に、すぐに夢中になって最後まで一気に読んでしまいました。 尊敬する中嶋朋子さんとの再共演、そして個人的には初めて本格的に向き合う、東京バレエ団とのコラボレーションや、櫻澤弘子さんのピアノの調べによるリヒャルト・シュトラウスの音楽。そして、ウィル・タケットさんの演出、アンディ、マッセイさんの音楽監修・編曲・追加曲作曲、ニナ・ダンさんの美術・映像など、グローバルなクリエイター陣との出会いも楽しみにしております。 さらに、新国立劇場 小劇場のステージに立つのも初めて。 様々な化学反応で一体どんな作品に仕上がるのか、どんな自分と出会えるのか、とても楽しみにしております。 劇場でお待ちしております。 ■ 中嶋朋子 コメント 「言葉」が言葉を超え、 情感が言葉と成り得るか──。 朗読というコンテンツには、魔物がいます。 立ち向かうべき大きな二つの魔物は、物語を「すべて語り尽くしたい」という演者の欲求と、物語は「すでに書き留められている」という観る側の受動性に潜んでいます。 「言葉」を介して物語を享受するぼうというクリエイションは、無尽蔵に存在する、私たちの「想像力」その源に、作り手、観客の双方が、自在に身を解き放つ必要があるからです。 語られるべき、受けとめられるべき「言葉」が、想像という大いなる海を内包し、劇場という空間に満ちた時、「物語」は、物語られるものから、私たち自身の命を紡ぐものへと姿をかえるのです。 本公演は、作り手、観客双方にとって、そんな、大いなる想像の海に漕ぎだす、またとない機会であるに違いないのです。 ■ 秋山瑛 コメント バレエはふだん言葉を使わない舞台芸術なのですが、「言葉が旋律に、音と身体が言葉となり語る一つの世界を紡ぐ舞台」という新たなクリエーションに挑戦できることが楽しみです。 ウィル・タケットさんの演出によって創り出されるイノック・アーデンの物語の中で生きられることを今から心待ちにしています。 ■ 生方隆之介 コメント 学生の頃からお名前を知っている、ウィル・タケットさんの演出・振付を受けられることに、とても驚きを感じています。 またこのような機会を頂いてとても感謝しています。 物語の内容を読んで、フィリップという役が自分の感情や性格に似ているような気がしました。また作品の内容も家庭や友情、愛や孤独についてとても考えされられました。 作品を踊っていく中で物語に寄り添い、そういった感情を大事にしていきたいと思っています。そして、ウィルさんの期待に応えられるように頑張りたいです。 朗読劇という形も初めての体験なのでどのようなものになるのか楽しみです。 ■ 南江祐生 コメント 原作を読み終えて、イノックの絶望とも言える状況の中でも、物事を受容していく大きな愛に、寂しくも深く温かな気持ちを感じました。そんな彼の人生の歩みを体現できることを、楽しみにしています。 ■ イノック・アーデン 2025年3月7日(金)~16日(日) 東京都 新国立劇場 小劇場 □ スタッフ 原作:アルフレッド・テニスン 作曲:リヒャルト・シュトラウス 翻訳:原田宗典 演出・振付:ウィル・タケット □ 出演 田代万里生 / 中嶋朋子 / 秋山瑛 / 生方隆之介 / 南江祐生 演奏:櫻澤弘子