東大院卒の古今亭菊正は入門志願で師匠に「よしたら」と言われた【令和7年巳年 落語界気鋭の二つ目】
【令和7年巳年 落語界気鋭の二つ目】 古今亭菊正 イキのいい二つ目がひしめきあう落語界。なかでも飛びっきりの5人を演芸評論家の渡邉寧久氏が厳選。聞いて損なし! 見て感激!未来の大名人たちよ! 【写真】故・柳家小三治さんが貫いた「孤高の芸道」 演芸評論家が振り返る“師匠に怒られたある質問” ◇ ◇ ◇ 寄席の楽屋も近年、高学歴化が進んでいるが、古今亭菊正(32)は日本の最高学府の最高峰出身。東京大学卒業後、同大学院の修士課程を修了するという芸人修業にはまったく役に立たないハイエンドなスペックで、演芸人になった。師匠の古今亭菊太楼(56)が、入門志願を受けた際にもらしたひと言は「よしたら」。 父はロシア語の通訳。モスクワで生まれ、生後半年で母の母国にやって来た。高校時代、落研(落語研究会)を創設。芸人になりたいことを親に打ち明けたら「東大の卒業証書があれば、なんにでもなっていい」という言質を取り付けた。1年の浪人生活を経て、見事合格。入学直後に、落研の門を叩いた。 「基本的には古今亭らしい噺が好きですね」というスタンスで、“古今亭三題噺”である「井戸の茶碗」「幾代餅」「火焔太鼓」を早く手の内に入れたいともくろむ。現在は「幾代餅」だけ。 「『火焔太鼓』の稽古を師匠に頼みましたが、ちょっと待ってね、とお預け状態です」 (渡邉寧久/演芸評論家・エンタメライター)