ハリケーンで損傷した「EV電池」を回収、テスラ元幹部のリサイクル企業
テスラの共同創業者であるJ.B.ストラウベルが設立したバッテリー再生・部品メーカーのレッドウッド・マテリアルズは、火災や洪水で損傷した電気自動車(EV)のバッテリーパックを回収し、その中に含まれる希少金属を再利用して新たなリチウムイオン電池を製造している。 「今やバッテリーは自動車や家庭、送電網など、あらゆる場所に使われている。寿命が尽きたり、災害や洪水で損傷したバッテリーが環境に悪影響を与えないようにする必要がある。自然災害がもたらした以上のダメージを環境に及ぼさないための良い解決策がいくつかある」とストラウベルは話す。 ネバダ州カーソンシティに本拠を置くレッドウッド・マテリアルズは、主に自動車ディーラーや電子廃棄物リサイクル業者、パナソニックなどのバッテリーセルを製造する企業からバッテリーパックや廃材を入手し、リサイクルしている。しかし、近年は自然災害で損傷したバッテリーをリサイクルする需要が高まっている。 同社は昨年、米国環境保護庁(EPA)からの支援要請を受け、マウイ島ラハイナで発生した山火事で燃えたバッテリーパックを回収した。また、7月にはカリフォルニア州で衝突・炎上したトラックが運搬していたバッテリーパックを撤去してリサイクルした。同社は、米南東部とフロリダを襲った2つのハリケーン、「ヘリーン」と「ミルトン」による被害を監視しており、初期の救助と清掃作業が完了後に損傷した車載バッテリーの回収を支援する用意があるとしている。 現在もテスラの取締役を務めているストラウベルによると、自然災害によって車両が破壊されても、バッテリーセル内のリチウムや銅、ニッケルのほぼ全てが再利用できるという。 「火災や洪水で車両が損傷した後でも、バッテリー内の重要な材料は通常とほぼ同じ90%以上の割合で回収できる。ほとんどの場合、材料はバッテリーパック内にとどまっている。火災で車体が燃えても、バッテリーも元の場所にあり、内部は無傷の状態であることが多い」とストラウベルは言う。