金正恩委員長、新年のメッセージなく公演観覧…隣の席に娘ジュエ氏
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が新年を迎え、特別な対内外メッセージを発信することなく、慶祝行事を観覧した。トランプ政権2期目を控え、ウクライナ戦争の戦況が激化し、北朝鮮軍の死傷者が続出するなど緊迫した国際情勢を念頭に置いた「ローキー(low key)」とみられる。 【写真】マッチ箱を持っている金正恩委員長の娘キム・ジュエ氏 1日の朝鮮中央通信によると、金正恩委員長は前日夜から平壌(ピョンヤン)5月1日競技場で開催された新年慶祝公演を観覧した。報道写真によると、金委員長の両側には娘ジュエ氏と年末の党全員会議で新しく任命された朴泰成(パク・テソン)首相が座った。崔竜海(ェ・ヨンヘ)氏、趙甬元(チョ・ヨンウォン)氏、李炳哲(イ・ビョンチョル)氏、朴正天(パク・ジョンチョン)氏、努光鉄(ノ・グァンチョル)氏、金徳訓(キム・ドクフン)氏、李日煥(イ・イルファン)氏、趙春龍(チョ・チュンリョン)氏、崔善姫(チェ・ソンヒ)氏、金正官(キム・ジョングァン)氏、崔東明(チェ・ドンミョン)氏、李永吉(イ・ヨンギル)氏、金明植(キム・ミョンシク)氏、鄭京擇(チョン・ギョンテク)氏ら幹部の姿もあった。 金正恩委員長夫人の李雪主(イ・ソルジュ)氏の姿は写真上では見られなかった。朝鮮中央通信は昨年の慶祝公演の報道で金正恩委員長が「尊敬するお子様と女史」と同行したと紹介したが、今年は特に言及しなかった。ジュエ氏についても特別な呼称を付けて紹介することはなかった。ジュエ氏を写真などで露出させながら高まった地位を強調しながらも、具体的な報道は控える最近の流れを継続した。 慶祝公演の報道は公演内容を伝えるものだった。金正恩称歌『親愛なる父』に合わせた生徒たちの律動、慶祝烽火の点火および祝砲などが続いたと、朝鮮中央通信は報じた。 これは韓国に向けて攻撃的なメッセージを相次いで出した昨年と比較される。金委員長は2023年の年末全員会議で「核武力を含むあらゆる手段と力量を動員し、南朝鮮の領土を平定する」というメッセージを出し、新年慶祝公演直前の2023年12月31日には北朝鮮軍主要指揮官を召集して「武力衝突を既成事実化するべき」として完璧な軍事対応態勢を注文した。 しかし先月23-27日に開かれた全員会議で対南メッセージは全くなく、米国に向けて「最強硬対米戦略」を宣言しながらも具体的な内容を明らかにしなかった。トランプ次期大統領が20日に就任した後に朝米対話が再開される可能性などを考慮し、内部的な対応の準備に没頭しているとみられる。 ◆習主席の年賀状を縮小報道…1面掲載のプーチン大統領とは対照的 同時に北朝鮮はロシアとの密着をより一層加速させ、対米交渉力を高める手段として活用する意図を隠していない。戦場で北朝鮮軍の死傷者が大規模に発生しているが、追加の派兵も考えられるというのが、情報当局の判断だ。 これに対し朝中間の冷たい気流は各国首脳の書簡発信関連報道でもまた確認された。労働新聞は1日、3面に「敬愛する金正恩同志に2025年の新年に向けて複数の国家首班と政党指導者、各界の要人が年賀状を送ってきた」と紹介し、中国の習近平国家主席の年賀状に言及した。 同紙は「中国共産党中央委員会総書記の中華人民共和国主席と夫人、ベトナム社会主義共和国主席、モンゴル大統領、タジキスタン共和国大統領、トルクメニスタン大統領、ベラルーシ共和国大統領が年賀状を送ってきた」と伝えた。習主席の年賀状発信の最初に言及したものの、その他の友好国の首脳と並列する形だった。 朝中が血盟関係であることを考慮すると、意図的に待遇を格下げしたとみる余地がある。金正恩委員長が習主席に年賀状を送ったという内容はこの日午前まで伝えられていない。 これは先月27日に北朝鮮がロシアのプーチン大統領の書簡全文を労働新聞1面に掲載したのとは対照的だ。金委員長もプーチン大統領に書簡を送り、これは先月31日の労働新聞2面で報道された。