「インボイス」が忘年会、新年会にも影響?領収書をもらうときに注意すべきこととは
2023年もいよいよ終わりが近づいてきた。今年は多くの企業で忘年会や新年会を実施・予定しているところが多いのではないだろうか? 幹事としては参加者の希望にあわせた店選びがかかせないが、今年からはインボイス(適格請求書)に対応した領収書がもらえるかも重要なポイントになる。 そこで、領収書が「インボイス」でないとどのような影響があるのだろうか。忘年会の幹事、経理担当者それぞれの対応について、田邊美佳税理士に聞いた。 ●領収書が「インボイス」でないと、原則支払ったはずの消費税が控除できない インボイスは消費税の税率や消費税額等が記載された書類で、消費税の計算をするために必要です。インボイスを発行できるのは「適格請求書発行事業者」として登録された事業者に限られ、誰でもインボイスを発行できるわけではありません。 受け取った領収書がインボイスでない・またはインボイスの記載要件を満たしていない場合には、「原則課税方式」で消費税申告を行っている会社にとっては、支払ったはずの消費税が控除できない、つまり消費税をより多く納税しなければならないという不都合が生じます。 インボイスでない領収書または不備のあるインボイスの場合、経理担当者は領収書に消費税額の記載があったとしても消費税はないものとして会計処理を行う必要があります。 しかし、制度開始から6年間は免税事業者等からの課税仕入れについては、以下のとおり一定割合を控除できる経過措置があるため、会計処理を行う際は注意が必要です。 【インボイス導入後の免税事業者等からの課税仕入れに関する経過措置】 ・令和5年10月1日~令和8年9月30日まで…仕入税額相当額の80%を控除できる ・令和8年10月1日~令和11年9月30日まで…仕入税額相当額の50%を控除できる ●経理担当者は「交際費5,000円基準」注意!幹事の方はその場で「T番号」の確認を 交際費を使う際に気をつけたいのが「5,000円基準(※)」です。 税込経理の場合は、従来通り、税込金額で判断すれば問題ありませんが、税抜経理の場合には、利用する飲食店がインボイス発行事業者か否かで5,000円の計算方法が変わってしまいます。 令和8年9月30日までの場合、忘年会等で1人あたり5,500円支払ったとして、利用した飲食店がインボイス発行事業者でない場合、消費税として控除できるのは500円✕80%の400円ですので、税抜金額は5,500円ー400円=5,100円となり、5,000円基準を満たさないことになります。そのため経理担当者は、改めて交際費等の額に含めて損金算入額の計算を行うことが必要です。 幹事の方は領収書を受け取った際にはインボイスかどうか、またインボイスであったとしてもT番号の確認だけでなく、その他の記載項目があるかどうかをその場で確認するようにして下さい。特に手書きの領収書の場合、要件を満たしていないことがあるため、注意が必要です。 ※1人あたり5,000円以下の場合は交際費等から除外され全額経費 ※令和6年度税制改正大綱により、現行の1人あたり5,000円から1万円以下に引き上げ 【取材協力税理士】 田邊美佳(たなべ・みか)税理士 オネスタ税務会計事務所所長。公認会計士・税理士・行政書士・ファイナンシャルプランナー。相続税申告、生前対策業務に特化。国際相続案件にも対応可能。 事務所名 : オネスタ税務会計事務所 事務所URL:https://onesta-tax.com/
弁護士ドットコムニュース編集部