立ち入り禁止の池で泳ぐ 道の真ん中で写真撮影 「オーバーツーリズム」の現状 観光と地域の共存は…北海道美瑛町
構造的な対策が必要…課題は財源確保
専門家は構造的な対策が必要だと指摘します。 (北海道大学 石黒侑介准教授)「国内外の事例を組み合わせますと、ある程度仕組みとして解決できる形はすでに見えている。国立公園や自然保護区のように特定の駐車場でマイカーやレンタカーを降りてもらって、(ルールやマナーの)レクチャーを受けてからマチを訪れてもらうスタイルが必要」 その上で重要なのが財源の確保です。
美瑛町ではバスツアーなどの日帰りの観光客が多く、宿泊客は1割にも達していません。 観光地にかかる費用は、町民サービスに充てる一般会計で賄っている現状があります。 (北海道大学 石黒侑介准教授)「美瑛町は人口9千人で200数十万人をもてなしているので、観光客からコストをもらわずに税金だけで観光客を十分に受け入れる整備をしていく、サービスを提供していくのは難しい」
町は2年後の4月から宿泊税の導入を予定。 さらに、観光客から入場税や入域税などを徴収する案を検討しています。 また2023年4月に施行したオーバーツーリズム対策の条例では、「町長は畑などへの立入りが認められる場合に立入制限区域を指定できる」と初めて明文化しました。 これまでに町が立入制限区域を指定したことはありませんが、状況が悪化した場合には措置がとられる可能性があります。
そもそも美瑛町の基幹産業は観光ではなく農業です。 美しい景観は農家の営みによるものであるという理解を観光客に広げながら、実効性のある対策で、農家の生活を第一優先に守っていかなければなりません。