環境に優しい農業推進へ 奄美市でセミナー 有機栽培実践する内田さんが講習
奄美たんじゅん会(濱手薫会長)主催の「環境・体に優しい野菜作りセミナー」が21日、鹿児島県奄美市名瀬のアマホームPLAZAであった。島内外から約40人が参加。神奈川県平塚市で有機野菜の栽培事業などを手掛ける「いかす」の内田達也取締役(48)の講習を通し、地球にも人にも優しい農法のほか、家庭菜園における栽培ポイントについて知識を深めた。 同会は15年ほど前、奄美の生態系を守りながら自然資材を活用する農法として、無農薬・無肥料で虫の付かない「炭素循環農法」の研究を目的に、小坂田徹朗さんが発起人となり立ち上がった。現在、小湊地域を拠点に会員約20人で活動している。 セミナーは「奄美市紡ぐきょらの郷(しま)づくり事業」の一環。農林水産省の「みどりの食料システム戦略」で、2050年までに耕地面積に占める有機農業の取り組み面積を25%(100万ヘクタール)へ拡大する目標が掲げられていることを踏まえ、奄美での有機栽培の推進が狙い。 講師の内田取締役は、栽培についての考え方や地力(土壌生産力)要素、緑肥を活用した育土などを自社事例を交えながら解説。また、奄美大島の土壌の多くが粘板岩(堆積岩)である特徴を指摘し、作物に適した土壌改良として▽硬盤破砕と有機物施用▽酸度矯正▽有機物施用による腐植増進―の三つのポイントを挙げ、「自然は方程式。原因を抑えることが重要」とアドバイスした。 約20種類を家庭菜園しているという、龍郷町の竹山純子さん(57)は「独学で育てているが、土壌改良など、手を掛けることの大切さを改めて感じた。内田さんの『自分がやったことは必ず反動として返ってくる』との言葉が印象的」と話した。
奄美の南海日日新聞