地下鉄車両なのに「展望席」!? いろいろブっ飛んでる福岡の新型「すごい車両になっちゃいました」
地下鉄なのに展望席?異色の空間は6号車に広がっていた
さらに意欲的なのが、多くの声を具現化したという4000系の車内です。 編成端部の6号車には、これまでに地下鉄車両にはなかった「展望席」が設けられています。車両の一部の側窓が、外から見てもわかるほど大きいのです。これは、空港線の運行形態を考慮したものです。 空港線は福岡空港から博多駅を経て博多湾沿いに走り、姪浜から地上に飛び出して、マリンビューが楽しめるJR筑肥線へと乗り入れます。この車両も予定では筑肥線の筑肥前原(糸島市)まで運行されます。そこで、空港ゲートや博多駅新幹線改札に近い6号車に、子供連れのファミリー層や大型のキャリーバックを抱えた観光客向けとしてフリースペースを設けています。 その6号車の運転室近く設けられているのが「展望席」です。2歳程度の子供が床にひとり立ちしても車窓が眺められるよう、高さ1236mmもある大型一枚窓を配し、窓の下端を低くしています。この窓は視界をクリアにするため、他の窓よりも透過率を上げているそうです。 また、車両正面の貫通扉は、運転席に“かぶりつき”をする子供の目線でも楽しめるように、ガラス面を床下580mmまで下げているとか。とにかく子供達に地下鉄を楽しんでもらいたいというフクチカの意気込みが感じられます。 ほかの車内も、座席を従来の高さより20mm上げて座席下のスペースを確保するとともに、荷物棚の位置を下げています。これは「網棚を使わない」といわれる福岡県人に寄り添った工夫です。棚をガラス張りとし、絶妙な傾斜をつけることで窮屈さを払拭しつつ、荷物棚を使いやすくしています。 さらには優先座席も拡充し、通常座席より60mm高くした立ち座りしやすい優先席も初めて設置しました。これは身体障害者団体と密接な交流をもっている福岡市ならではの発想であり、使う側からの細かい要望の声を具現化した結果だといいます。 こうした様々な「声」と最新のテクノロジーを結集して完成した新型4000系。これからさらに乗務員訓練と試運転とを重ね、できるだけ早い運用開始を目指すとのことです。なお10月27日(日)には姪浜駅で11時30分から14時30分まで、一般向けのお披露目見学会も実施します。
坪内政美(スーツの鉄道カメラマン)