台湾への武器売却、待遇引き上げを提言 米議会諮問機関
(ワシントン中央社)米議会の諮問委員会、米中経済・安全保障調査委員会(USCC)は19日、2024年の年次報告書を議会に提出し、台湾への武器売却について、待遇を日本、韓国、イスラエル、オーストラリア、ニュージーランドと同等に引き上げることを提言した。USCC委員のランドール・シュライバー元米国防次官補(インド太平洋安全保障担当)は、台湾への輸出規制の手続きの簡便化にもつながると説明した。 700ページを超える報告書は米中経済と貿易関係や米中関係、台湾、香港など10章で構成された。 台湾の章では、1976年に米国で制定された「武器輸出管理法」を改正し、台湾を「NATO(北大西洋条約機構) Plus」の受領者のリストに加えることや、中華民国(台湾)と正式な外交関係を有する国に対外援助を提供する「台湾盟友基金」の立ち上げの二つが提言された。 現行法では、武器売却の際に議会への通知が必要となる金額が、NATO加盟国と日本、韓国、イスラエル、オーストラリア、ニュージーランドは2500万米ドル(約39億円)以上、台湾など一般の国は1400万ドル(約22億円)以上と規定されている。 19日午前、議会に出席したシュライバー氏は、台湾を「NATO Plus」に組み込むことは、台湾を米国の最も重要な安全保障支援パートナーの一つとするものであり、台湾への輸出規制の手続きが簡便化されると述べた。 この他、台湾の章に記載された「米国への影響」の部分では、台湾は依然として米中衝突の潜在的引火点だと指摘。頼清徳(らいせいとく)総統率いる民進党が少数与党となっている現状を、中国の指導者層が一種の弱点や契機だと見なす恐れがあるとし、中国が民進党への圧力を強める可能性があるとした。 また、中国が台湾を封鎖する能力を引き続き構築していることは「米国と台湾の指導者にとって特殊な挑戦になる」と警鐘を鳴らした。 締めくくりには「台湾は先端半導体の製造において圧倒的な地位を占めている」とし、台湾での生産に混乱が生じれば、「世界の経済、そして最も重要なことに米国の国家と経済に多大な影響をもたらすだろう」と言及した。 (鍾佑貞/編集:名切千絵)