問題続出のリオ五輪の背景にある経済悪化
選手村でも、多くの不具合が報告された。7月24日の入村初日、オーストラリア選手団は「トイレが詰まる。壁から水がしたたり落ちる。床が汚ない。とても生活できる環境にない」として近くのホテルに緊急避難。スウェーデン、アルゼンチン、ケニアなどの選手団からも同様の問題が指摘され、組織委員会は600人の作業員を投入して対応に追われた。 施設面で問題が噴出する最大の理由は、長引く不況のため組織委員会が資金不足に陥っているから。開幕前というのにもう懐は空で、ブラジル政府とIOCに資金援助を乞うている。 不安材料を挙げればキリがないが、外国人にって最も深刻なのはやはり治安だ。唯一確実な対策は「リオへ行かないこと」だが、蛮勇をふるって五輪を現地観戦するなら、ダウンタウンを歩かない、早朝と夜の外出を極力避ける(ただし、早朝や深夜に行なわれる試合も多いが)、常に周囲の状況に気を配り、危険人物がいたら避ける、といった基本を厳守し、あとはコルコバードのキリスト像に格別のご加護を願うしかなさそうだ。 ともあれ、リオ州知事自ら「大失敗して世界中の物笑いにならなければいいのだが…」と危惧する“世紀の五輪”がいよいよ幕を開ける。 (文責・沢田啓明/ブラジル在住フットボールジャーナリスト)