一般道120キロ爆走で女児死亡させた医師に「執行猶予」、なぜ高級スポーツカーの運転手に“大甘判決”がまかり通る
■ 一般人の常識からかけ離れた認識 今、法務省では『自動車運転による死傷事犯に係る罰則に関する検討会』が開かれており、同省のサイトには、その目的について以下のように記されている。 〈近時、悪質・危険な運転行為による死傷事犯が少なからず発生し、そうした事犯に対する厳正な対処が重要な課題となっていることを踏まえ、交通事犯被害者遺族、刑事法研究者及び実務家を構成員とする検討会を開催し、悪質・危険な運転行為による死傷事犯に係る罰則の改正の要否・当否、考えられる法整備の内容を検討する〉 2024年3月19日に開催された第3回会議で、交通事故被害者・遺族の立場として出席している「危険運転致死傷罪の条文見直しを求める会」代表の波多野暁生氏は、速度超過による事故について次のように発言していた。 「例えば、時速150キロメートル、180キロメートル、200キロメートル近いスピードが出ていたとされる事件があります。現行の自動車運転死傷処罰法第2条第2号は、私の理解では、進行制御困難かどうかの判断に当たって考慮する『道路の状況』に、動いている車や歩行者などの流動的なものは含めないで、進行が制御できていれば危険運転致死傷罪には当たらないとされていると理解しています。 しかし、一般の常識からすると、時速百何十キロメートルというスピードが出ていれば、危険に決まっているわけで、当然、被害者たちは、要望を出して、常識に照らして判断してくださいと言うわけです。また、補充捜査うんぬんという話のときに、検察の方は、そのようなスピードを出して実験をするのは危険だからできませんと言うのです。これが何なのかということです」(一部抜粋) 『そのようなスピードでの実験は“危険”だからできない……』 波多野氏が引用し、指摘する検察の言葉は、まさにこの問題の根幹を示しているのではないか。 混合交通の一般道で時速120キロという速度を出し、死亡事故を起こしても「過失」と判断され、結果的に執行猶予付きの判決が下される車優先社会は、一刻も早く見直さなければならないだろう。
柳原 三佳