海外メディアは井岡一翔V1成功を評価「栄誉を受ける瞬間を取り戻す」「老獪なベテラン」「ボディショットで優位に」
ボクシングのトリプル世界戦が31日、東京の大田区総合体育館で行われ、WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチは、4階級制覇王者の井岡一翔(30、Reason大貴)が、同級1位の指名挑戦者、ジェイビエール・シントロン(24、プエルトリコ)を3-0判定で下して初防衛戦に成功した。序盤に足を使われ、後半も挑戦者にクリンチを多用されて仕留めきれなかったが、顔を腫らしながらもボディ攻撃を軸に最後まで前に出て、判定勝利をつかみとった井岡のファイトを海外メディアも高く評価した。 米の権威あるボクシング専門誌「リング誌」は「井岡がシントロンをボディで圧倒、判定でタイトルを防衛」との見出しを取り、「高く、動きのある相手と対し、井岡はボディ攻撃をするためインサイドに入り込みシントロンを判定で倒した。2人のジャッジが116-112とし、3人目が115-113と全員が井岡(25勝2敗、14KO)を優勢とし、WBOスーパーフライ級王座を初めて防衛した。この勝利で大阪出身の井岡は、日本ボクシング伝統の大みそかの試合での戦績を7勝1敗とした」と伝えた。 記事は「(試合後)井岡の顔に残った跡は、シントロンが高さとリーチを使って外から攻め、1年前に2-1の判定で井岡に勝利を収めたドニー・ニエテス(フィリピン)のゲームプランを書き出したような序盤のラウンドを物語っていた」と序盤の劣勢を紹介。 「井岡は、中盤に流れを呼び両手を使ったボディショットを放ち、接近戦で動きを欠くシントロンに対して優位に立った。これらのパンチでシントロンは消耗し始めた。10ラウンドまでには、パンチがほとんど出なくなり、ボディと左フックのコンビネーションの後には疲労で、ほとんど崩れる寸前となった。12ラウンドにシントロンは意地を見せて、恐れなく飛び込んでくる井岡に複数のパンチを与えたが、どのパンチも井岡を止めることはできなかった」と中盤以降に井岡がペースを握った展開を評価していた。 ESPNは「井岡、田中が東京のボクシング試合で世界タイトルを防衛」との見出しを取り井岡と、WBO世界フライ級王座を3ラウンドKOで守った田中恒成(畑中)の2人の防衛成功を伝えた。 「長身で素早いサウスポーの24歳、シントロンは、日本の井岡に対して序盤に難題を与えた。だが、30歳の井岡は徐々にリズムをつかみ、攻撃の圧力をかけ、ボディショットでシントロンを痛めつけることに集中して戦いの後半で圧倒した」と井岡の勝利を伝えた。 また記事は、田中のKO勝利も紹介しつつ、2020年の展開にも触れ「この試合の前に井岡と田中の両選手が勝てば2人による対戦につながるとの話し合いがあった。両選手が勝利を収めたことで、田中が井岡に挑戦するために階級を上げることになる可能性がある」と記した。井岡、田中の両陣営が直接対決についてテーブルについた形跡はないが、WBOのフランシスコ・バルカルセル会長が、12月上旬に東京で開催されたWBO総会で「井岡とシントロンの勝者に来年田中が4階級制覇を狙って挑戦する流れになる。ぜひ実現したい」と語り、両者の日本人対決を強力プッシュしたことを示唆したものと思われる。