見上愛”彰子”の覚醒っぷりがすごい…孤立していく道長の未来は? 大河ドラマ『光る君へ』第41話考察レビュー
側室・明子の不満が爆発
さらに三条天皇は道長が関白の座を辞退すると、そのことを受け入れる代わりに無位で後ろ盾もない娍子を女御とすることを認めさせた。三条天皇はなかなかの策士のようで、蔵人頭になって間もない娍子の同母弟・通任(古舘佑太郎)を参議に引き上げるにあたっては、代わりに道長と明子の二番目の息子・顕信(百瀬朔)を蔵人頭にすることを提案する。 しかし、三条天皇にこれ以上借りを作りたくない道長はその申し出を断った。その決断に怒りを露わにするのは明子だ。ただでさえ、頼通を猛スピードで出世させたり、彰子(見上愛)を一条天皇、妍子(倉沢杏菜)を三条天皇のもとに入内させたりと、倫子(黒木華)の子どもたちばかりを取り立ててきた道長。そのことに対する明子の不満がここにきてついに爆発する。 出世への意欲を口にしていた顕信もショックを受け、出家する事態に。明子は「あなたが顕信を殺したのよ!」とものすごい剣幕で道長に迫った。こうなったのも全ては三条天皇の策略のうちかもしれない。 もはや誰も逆らえぬほどの権力を得た道長の前でも一切毅然とした態度を崩さぬ三条天皇。常に穏やかな笑顔を携えているが、腹の底は全く読めず、時に恐ろしささえも感じさせる。
ききょう「ここは、私が歌を詠みたくなるような場ではございませぬ」
一方で、道長がどんどん孤立する状況を作り出しているのは道長自身でもある。 ある日、彰子の和歌の会に乗り込んできたききょう(ファーストサマーウイカ)。敦康親王(片岡千之助)からの椿餅を届けにきた彼女に、彰子は「敦康様はお健やかか?」と尋ねる。 すると、ききょうは「もう敦康様のことは、過ぎたことにおなりなのでございますね。このようにお楽しそうにお暮らしとは思いもよらぬことでございました」と皮肉交じりに返し、その場を凍りつかせた。 さらには、空気を良くしようと「私たちは、歌の披露をしておりましたの。あなたも優れた歌詠み。一首、お読みいただけませんか」と声をかけた赤染衛門(凰稀かなめ)に対しても、ききょうは「ここは、私が歌を詠みたくなるような場ではございませぬ」と不躾な態度を取る。 ようやく一条天皇の死から立ち直り、笑顔を見せるようになっていた彰子が一瞬にして悲しい顔に。道長に対するききょうの怒りは理解できるが、それを何の罪もない彰子にぶつけるのはお門違いにもほどが過ぎる。 だが、真面目で心優しい彰子は自分が父の言いなりになっているせいで傷ついている人がいると、重く事態を受け止めたのだろう。 そんな中、敦康親王が元服したにもかかわらず、彰子の顔を見るために御簾を超える。これまでは自分が東宮に選ばれなかったことも甘んじて受け入れるなど、どこか控えめな印象があった敦康親王。 そんな彼がこのような大胆な行動に出たことに意外性を感じると同時に、彰子に向かうその熱量に戦慄を覚える。父譲りの一途さは微笑ましくもあるが、今回彰子に見せた笑顔はあまりにも重い愛を感じさせた。