清水ミチコ「新ネタは〈新しい学校のリーダーズ×瀬戸内寂聴さん〉。テレビで注目された20代より、60代の今が楽しい」
◆精神的に図太くなった ここ10年を振り返ってみると、体力的には確かに衰えたと感じることもありますね。すぐに疲れてしまうし、ほんのわずかでも昼寝をするなんて50代の頃にはあり得なかった。 でも、その分、精神的にはずぶとくなってきていると言いますか。自分の中に潜んでいた「明るさ」が10年前より際立ってきて、以前は、人前では自分自身のことをそんなに喋らなかったのに、近頃はぺちゃくちゃ喋ってる(笑)。いい意味で、羞恥心がなくなってきたのでしょうか。 長年、ライブをやっていると、あまりウケずにステージですべったこともありますよ。そんなとき、以前なら「あ、マズイ」とうろたえて、こちらの動揺がお客さんにも伝わって気まずい空気になってしまったことも。それが最近では「え? あえてすべったんですが、それが何か?」と開き直れるように(笑)。それは芸人として大きなプラスだと思います。男の芸人さんの場合は、年齢を重ねるにつれ責任や重圧がのしかかっているように見えるけど、私を含め周りの女性たちは、年齢とともに軽やかに、どんどん無責任に遊べるようになっているような気がします。 正直な話、テレビで注目された20代の頃より、60代になった今のほうがぜんぜんラクですね。若いときは周囲からの期待が大きすぎて、いくら働いても充実感や達成感が得られなかった。全力を出し切ってその日1日の仕事をこなしても、明日はまた別の仕事が待っている――心身共に疲れ切ってしまって、30代を迎える頃には「もうやめてもいいや」と考えていた時期もありました。 でも、今は「これはやる、これはやりたくない」って自分の意志で仕事を選び、自分のペースで楽しめるようになったので、すごくラク。これも年齢を重ねたおかげかもしれません。
◆瞑想やファスティングで健康管理を とはいえ、体力的な衰えは否めません。話題の映画を観ているのに途中で一瞬寝てたとか(笑)、とても面白い本を読んでいるのに、目が疲れて最後まで一気に読めないとか。これからも大好きなライブの仕事を続けていくために、ポンコツになりつつある自分をかわいがってあげようと、健康には気をつけるようになりました。 60代になってからは、毎日7時間はきちんと睡眠をとるように心がけ、週に1、2回はスポーツジムに通ってヨガやウォーキングで身体を整えたり。瞑想も習慣にしています。私の仕事は、ライブやテレビやラジオの生放送などで一気にテンションを上げるので、そのままの状態だと脳が興奮して眠れない。 そんなとき、若い頃はお酒を飲んだりもしましたが、近頃はお酒を飲むと途中で目が覚めて、再び眠れなくなってしまいます。なので、仕事でハイテンションになっているときは、知人に教えてもらったネドじゅんさんのYouTubeを見ながら瞑想を行って、穏やかに眠りにつくようにしています。 人前に出る仕事ですから、太りすぎるのもマズイですよね。体重をコントロールするために、時折、ファスティング(断食)のコースがある保養施設にも泊まりに行っています。食事制限って、私はうちにいるとできないんですよ。基本的に、食べることも料理を作ることも好きで、ついキッチンに立ってしまう。 保養施設の食事はニンジンジュースや酵素ドリンクだけなのに、「なんでこんなにお金をとるかね?」って思うけど(笑)、でも、「自分の健康のためにこれだけお金をかけている」という意識が自分への自信につながっているんじゃないかと思います。