妻と交わした約束「最後は輪島に」地震で妻と娘を亡くした男性が能登の酒食を提供する居酒屋を川崎でオープン
地震から5カ月の再出発
いよいよオープンの時間だ。「うれしいか悲しいか分からないけど、オープンだね」と楠さんは店の看板に明かりを点けた。「いらっしゃいませ」「何名様ですか?」。オープンと同時に多くの人が入り、店はすぐに満席になった。客が「それはどこから仕入れる?」と聞くと、楠さんは「全部能登、魚も何も全部能登。珠洲の蛸島っていうところが、漁を再開している。宇出津も再開している」と答えた。 仕事を終えた楠さんは「久々に忙しい思いをした。商売としてはいいスタート。商売としてはね。やっぱり本店は輪島に作らないといけねえじゃん。最後は戻ろうと、きょう改めて思った。いろんなこと起きるじゃん店開けていたら楽しいことも、たまにはお客さんに怒られるかもしんねえけど、それはそれで何ページもめくって、いい加減厚い本になったらそのころに輪島に戻れるのかな。かっこいいこと言ったね。散々、カメラ向けられているからあの日から」と話した。 営業中を示す店の札には「復興中」の文字が大きく書かれている。「営業するときは復興中にしている。言っても俺が復興中だからね。俺自体が」。 (石川テレビ)
石川テレビ