『サンゴの人工繁殖』挑戦する島の小さな水族館 温暖化でピンチのサンゴを地元の子供と育てる「自分のサンゴが竹ヶ島に植えてある」となればいい
徳島県で地元のサンゴを守る取り組みを続ける水族館がある。 温暖化の影響でサンゴの生息が危ぶまれる中、地元の子供たちと一緒に“人工的”に育てたサンゴの繁殖に挑戦した。 【写真】『サンゴの人工繁殖』挑戦する島の小さな水族館
■60種以上のサンゴが生息する「竹ヶ島」の水族館
海洋自然博物館 マリンジャム 藤村捺月さん:枝も太く成長してるので、いい調子だと思います。 人の手で育てられた「サンゴ」を、海に返す日がやってきた。 徳島県海陽町の竹ヶ島。60種類を超えるサンゴが生息する豊かな海が広がる。 ムカシサンゴやカワラサンゴ。そして、ここで広く群生しているのが、島のシンボル「エダミドリイシ」だ。 しかし、温暖化の影響で海水温が高くなると、サンゴが生きていけなくなる恐れがある。 竹ヶ島にある小さな水族館「マリンジャム」では、サンゴを自分たちで育て守っていこうと、6年前から人工繁殖に挑戦している。 海洋自然博物館 マリンジャム 奥村正俊館長:卵を採ってきて、館内で育てたサンゴを海に返すということをやっています。 今年7月には、「エダミドリイシ」の卵を海で採集し、水族館で育てたサンゴの卵とかけ合わせる繁殖作業を行った。 陸上で育てたサンゴだけで安定して繁殖できるようになれば、たとえ海の環境が変化しても竹ヶ島のサンゴを守っていくことができるのだ。
■繁殖を手伝う地元の小学生 「自分たちの故郷を誇りに思って」と館長
地元の小学生たちが、サンゴの繁殖の手伝いに訪れた。 海洋自然博物館 マリンジャム 木村素子さん:これが『ライブロック』です。もともとサンゴだった石。ここ(岩)の穴にボンドをつけて、(サンゴを)岩にくっつけていきます。 「ライブロック」という死んだサンゴからできた石に、水族館で育てた「エダミドリイシ」を植えつけていく。石には微生物などがついていて栄養があるので、そこでサンゴが育つ。 そして、ダイバーが海へ返す。子供たちは、その様子を船から見学。 子供たち:大きく育てよー! 海洋自然博物館 マリンジャム 奥村正俊館長:子供たちが自分の手でサンゴを植える。何でもいいので、海の生き物に興味を持てたら、次の世代につながっていくのかなと。 ダイバーたちが、子供たちの思いが詰まった20本の苗を、サンゴがいない白い砂地に置いていく。 船の中から見守る子供たちは興味津々。 子供たち:あ、ほんまや!あるある。 子供たち:あれ、白いやつあるやん。 子供たち:どこどこ? 子供たち:これこれ。 海洋自然博物館 マリンジャム 奥村正俊館長:(将来)どこに行っても、県外に行っても、『自分のサンゴが竹ヶ島に植えてあるんだ』と、どこかで話ができればいいかなと。自分たちの故郷の海が竹ヶ島。自分たちの故郷はこの海陽町なんだと、美しい海があるので誇りに思ってください。 水族館では今後、「エダミドリイシ」だけでなく、他のサンゴの人工繁殖も目指している。 (関西テレビ「newsランナー」 2024年11月22日放送)
関西テレビ