全国で3校のみ 大江学園が「朝の読書大賞」 継続20年で習慣化
読書の取り組みに実績があった学校を表彰する第17回高橋松之助記念「朝の読書大賞」に、京都府福知山市大江町波美、小中一貫教育校・大江学園(由良正樹校長、233人)が決まった。大賞に選ばれたのは全国で3校のみで、長年続けている朝読書をはじめとする学校ぐるみの読書推進活動や図書館教育が高く評価された。府内での大賞受賞はこれで2校目。 朝の読書大賞は、公益財団法人高橋松之助記念顕彰財団が主催。全国の小、中学校、高校などから応募があり、今回は大江学園のほか、学校法人開成学園大宮開成中学校(埼玉県)と愛知県立豊橋南高校(豊橋市)が受賞した。賞状、トロフィー、副賞30万円が各校に贈られる。
継続20年で習慣化 図書貸し出し増え
大江学園は、大江小学校、大江中学校とも、月曜から金曜までの朝のホームルーム前の10分間に、読書を行っている。2021年4月に統合する前の美河、美鈴、有仁3小学校と大江中学校の頃から約20年間続けてきた取り組みで、学園では、読書指導の一環となっている。 学園図書館は2カ所あり、小学1年~4年が使用の図書スペースと、同5年~中学3年が使う合同図書館に分けている。 朝読書で児童、生徒たちは本を読む習慣が付き、学園の図書館の貸し出し数が年々増加。今年4月から10月7日までの貸し出し数は、小中学生(教諭も含む)合わせて1万500冊になっている。 学園の中で、大江中3年の岡奏大君が一番多く、同期間に113冊を借り、朝読書などで活用している。岡君は「昔は本を読むのがあまり好きではありませんでしたが、今は難しい内容の本も読めるようになりました。読書をすることで、物事をいろいろな方向から考えられるようになりました」と言う。 中学生は朝読書が始まる前から席に着いて本を読み、小学生も静かに本と向き合っている。学校司書の中井直美さんは「朝読書だけでなく、給食のあとなどに本を読む児童、生徒もいます。本を読む習慣が付いたことで、学校全体が落ち着いた雰囲気になり、学習意欲も高まっているようです。これからも本と楽しく触れ合える機会をつくりたい」と話している。
本好きの子を育むさまざまな工夫
また小学生を対象にした地域のボランティアによる読み聞かせ、学校司書による季節・行事についてのブックトーク、家読や、紹介したい本を持ち寄って書評をするビブリオバトルなど、読書に関わるさまざまな活動を繰り広げ、本好きの子どもたちを増やしている。 由良校長は「中学生になっても読書量が減らないのは、小学生から本を読む取り組みを続けているおかげで、読書を通じて児童、生徒たちはより落ち着きが出て、物事を考える力が身に付いてきています。今後も地道に活動を続けていきたい」と話している。