ハーレーダビッドソン 伝統と進化で次の100年へ
■全てのディーラーを世界標準化へ さらに、ディーラーのスタンダード化を目指していく。商業主義であれば、取扱店を増やすことが販売促進の大きなチャンスを作ることになるが、ハーレーの考え方は違う。どこのディーラーに行っても、ハーレーダビッドソンならではの、独自のホスピタリティで接するスタッフ(女性スタッフも全ての店舗に配属されている)を配属し、どのディーラーでもハーレーの世界観を感じることができ、安心できるような環境にしていく。現在国内には167ほどディーラーがあるが、ディーラー数が減少することを覚悟で基準を満たす店舗だけにしぼって展開していく。「世界レベルで一貫して高いクオリティの顧客体験を届けていくことが戦略としてあり、それは日本でも同様です。親しみやすく、誠実で、専門的に、カスタマーのそれぞれの目的に合わせた接客を行う。これを実現させることは簡単ではないが、各ディーラー、スタッフは、真剣に取り組んでくれると信じている。日本市場において支持されるためには必要だと考えています」とファレル社長。 ■伝統を守り抜くスタイル もちろん“変わらないこと”も、次の100年で目指す施策の1つだ。最新モデルとして、ディーラーに並んでいるハーレー。当然のことながら最新の技術を搭載している一方で、10年前、20年前とデザインは大きく変化していない。ハーレーの持つ世界観を保つために、そのスタイルを維持しながら、最新技術を載せていくこともハーレーのこだわりだ。 もう1つ、今後も変わることのない考えがある。ハーレーの世界観を共有し、仲間意識を育んでいこうとする考え方だ。ハーレーダビッドソンには、オーナーズクラブがあり、現在3.5 万人の会員が存在する。ハーレーを所有するオーナーだけが入会でき、情報を交換したり、ツーリングに参加するなど、その世界観を共有し、楽しむことができる。販売されているハーレーの90%以上はオーナーによって自分好みにカスタマイズされているなど、ハーレーならではの楽しみ方があるだけに、こういったコミュニティを企業がリードしてくれるのは心強い。 ■シェアは2000年以降国内1位をキープ 現在、日本を走るハーレーは21万台以上。限定解除の大型二輪免許を必要とする401CC超のエンジン。価格帯も軽自動車よりも高価なため、簡単に手を出すことはできないが、それでも根強くファンから支持され続けている。大型二輪のシェアは2000年から連続で国内1位(750CC以上のカテゴリー)。販売台数も年を追うごとに増えている。それは、1990年代前半のバブル崩壊も2007年のリーマンショックさえも影響さえも受けることがなかったという。 着実に日本文化に根を生やしているハーレーダビットソン。その理由は、100年かけて培った文化を次の100年、自ら壊し、またある一方では、伝統を守り抜いているからだろう。