ハーレーダビッドソン 伝統と進化で次の100年へ
ハーレーダビットソンが日本に上陸してから100年以上の時が流れた。1913年、伊藤博文の秘書だった伊東巳代治(みよじ)の四男が日本に持ち込んだと言われ、その後、日本自動車株式会社が輸入権を獲得し、販売が開始される。「関東大震災の時は医者を乗せ救援物資を満載し、満州事変の時は護国の盾となって民衆を守り、物を言わぬ鉄の塊は、いつしか人々から愛されるようになっていく」(『ハーレーダビッドソン日本見聞録』有限会社源より)と、日本の激動の歴史とともに駆け抜けてきた。そして2014年。ハーレーダビッドソンは、次の100年へと新しい一歩を踏み出そうとしている。
■ハーレーは電動バイクを手がける ハーレーダビッドソンが目指す未来は、いくつかのキーワードがある。1つは先日発表したばかりの『Project LiveWire』。ハーレーの常識を覆す電動バイクだ。現時点では、「製品化の予定はない」、とのことだが、北米での試乗はすでに始まっており、欧州でも行われる予定。日本での試乗はまだ決まっていないが、近い将来、電動のハーレーが上陸するかもしれない。もちろん、好評であれば、製品化の可能性もある。ハーレーの未来を語る上で、このプロジェクトは欠かせないものになるだろう。
■若年層をターゲットに750CCマシンの導入 もう1つは、街乗りの750CCのマシンの導入。ハーレーと言えば、883cc~1,801ccの大排気量を誇るエンジンを搭載し、ツーリングなど、どちらかといえば長距離ライド適したバイクが主流だった。今回、若者向けに街乗りでも扱いやすいバイクを導入。実は、ハーレーを購入する属性の平均は42歳で、コアターゲットは35歳~55歳。若年層は少数派だった。その層に対して、関心を持ってもらうために大きな施策となる。 「ハーレーの象徴は『個人の自由への夢の実現』であり、大量生産するような製品を提供するのではなく、個人個人にそれぞれに合うものを提供しています。これは100年以上、続いている伝統でもあります。一方で、環境やライフスタイルの変化も考えなければいけない。都会で生活を送る若い世代の人たちのニーズをかなえるための製品を提供することも必要で、今回の750CC『ハーレーダビッドソン・ストリート』を販売することになりました。また、電動のハーレー、『Project LIVEWIRE』は、カスタマーがハーレーの将来に期待しているものであり、試乗イベントによるフィードバックを受けて、この製品が市販モデルとして生産されていくことになるでしょう」とハーレーダビットソン・ジャパンのスチュアート・ファレル社長は説明する。