日米の選挙結果で一躍脚光…SNS全盛で広告業界はウハウハ?(中西文行)
【経済ニュースの核心】 先の衆議院選挙での国民民主党の予想外の議席増、兵庫県知事選挙での斎藤元彦氏の再選(公職選挙法違反の疑惑が浮上しているが……)はSNS活用だったと伝わる。運動員を動員せず低コストで選挙戦を有利に展開できることを立証した。 【写真】トランプ前大統領を悩ます“爆乳女優”…恥部を「毒キノコ」と暴露され世界が爆笑(2023年) 来年夏の参議院選挙では、過去にないほどSNS活用が当落のポイントになろう。かつての小泉政権の「改革なくして成長なし」のワンフレーズ・ポリティクスの延長線上のようなSNSでの情報発信。 トランプ次期米大統領が、前回(2020年)の大統領選挙で惜敗したとき「選挙は盗まれた」と大手既存メディアを「フェイク」と批判した。そして自身でSNS「トゥルース・ソーシャル」を立ち上げ、岩盤支持層に情報を発信した。その効果もあってか、今回は民主党候補ハリス氏に圧勝、歴史的な再選を果たした。原動力はSNSだろう。 衆議院過半数割れの自公政権はSNSと物価対策が急務だ。総務省による10月の東京都区部の消費者物価指数(2020年=100、中旬速報値)は、値動きの大きい生鮮食品を除く総合が107.9となり、前年同月比1.8%上昇した。 総務省の試算では、政府の電気・ガス代負担軽減策がなければ2.3%上昇だった。生鮮食品を除く食料は3.8%上昇し、前月(2.8%)から伸びが拡大、生活者を圧迫している。 帝国データバンクによると24年12月までの値上げ品目数は1万2458で、年間の平均値上げ率は17%である。仮に年3.5%の物価上昇が続くと、5年前に想定された老後の必要資金2000万円は、20年後に3980万円に膨らむという試算もある。 先にも触れたが、来夏は参院選。国政選挙は広告業界にプラスである。 ■デジタルの割合が6割強へ 電通グループによれば、24年の世界の広告費成長率予測は、前年比5.0%増(日本3.0%増)、市場規模7544億ドルで、25年は同4.2%増(日本2.5%増)の7859億ドルと予測している。総広告費に占めるデジタル広告の割合は、24年59.6%から25年には60.9%になる見通し。 インターネットを含めて広告業界のガリバーは電通グループ、次ぐ博報堂DYホールディングス、ADKホールディングス、サイバーエージェントでほぼ寡占市場。テレビ・ラジオを持たず、新聞・雑誌も読まないスマホ世代の増加で、選挙やイベント関連のSNSの増加や、広告単価の値上げなど広告業界には追い風が予想されよう。 (中西文行/「ロータス投資研究所」代表)