日銀の施策が「エブリシング・バブル崩壊」の最後の砦…!世界的な”金融引き締め”の最中でもインフレが進むアメリカの”驚愕の真実”
なぜアメリカのインフレは止まらいのか
エミン:アメリカのFRBは金融引き締めを行っていましたが、さまざまなマクロ統計を見ていると、アメリカの金融環境は緩和的で、マネーが増えている。 株価についても、いまだにリスクを取って、大きくレバレッジをかけたトレードが横行している。それを見る限り、金融引き締めの効果はあまり出ていない。 金利を5.5パーセントという高い水準まで引き上げたのだから、本来、インフレ率は2パーセントを下回っていてもおかしくない。そうなっていないということは、要はまだ引き締めが足りていなかった。本気でインフレ率を2パーセント以下に下げたいなら、アメリカは逆に利上げしないといけない。 永濱:アメリカは景気が過熱していますので、本当はより財政引き締め方向に動くことが経済学的に理にかなっていると思います。ただ、大統領選前のタイミングだったので財政を引き締めすぎて景気を悪化させてしまうと、現政権の民主党の勝利が難しくなってしまう、という判断もあったのでしょう そもそも、バイデン政権自体が、積極財政に好意的です。財務長官のイエレン氏は、いわゆる「高圧経済」政策の象徴的な人物です。「高圧経済」とは簡単に言えば、経済の過熱状態を容認して、経済の潜在成長力を高めるという政策です。 要するに、アメリカはインフレで金融は引き締めていますが、財政の面では供給力を高めるために歳出を拡大し続けているわけです。だから、アメリカのインフレ率は下がりにくくなっているのでしょう。 さらに、エミンさんがおっしゃったように、日銀の影響もあるかもしれません。今後日銀がどれくらい金融を引き締めるか、それ次第ではアメリカの景気にも影響が出るかもしれません。
好景気のインフレ抑止は無理
エミン:アメリカは景気・株価を維持したままインフレを抑制する、いわゆるソフトランディングを模索しています。ただ、これはそもそも無理な話です。景気がいいままならインフレ率は下がりませんし、そもそも利下げの必要もありませんから。 パウエルFRB議長も、前議長のイエレン氏も、イエレン氏のさらに前の議長のバーナンキ氏も、みんなウォール街の出身者。できるだけ株価を吊り上げようとしてくるのです。 『中国に勝ち目はない…「中国製EV関税」をめぐる米中対立、絶望的な状況におかれた中国の報復措置が日本に飛び火する可能性も』へ続く
永濱 利廣、エミン・ユルマズ
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