チャンスでもあり崖っぷち。渋谷のポテンシャルを生かしてWeb3コミュニティを支援──渋谷区長 長谷部健氏【2024年始特集】
渋谷のポテンシャルと若者のタフさ
──政府もWeb3を成長戦略に定めています。国や都とは積極的に連携を測っているのでしょうか。 長谷部:国や都の取り組みはフラットになりがちで、難しい面もあります。渋谷区がいろいろ取り組んでいると、都がフォローアップするような形になることもあります。「東京」という看板を生かし、もっとコミットして欲しいですが、都の立場も理解していますので「自分たちで走れるところで走ろう」という考え方で進めています。ただし、都の熱量も上がってきていると感じています。 あとは日本人は非常に謙虚です。スタートアップも「これは行政が認めてくれないだろう」と、自分たちで忖度してしまうようなところがあります。ビジネスチャンスとして非常にもったいない。チャレンジを後押しするような気運、環境を作りたい。 とはいうものの、今の若い世代はタフです。我々の若い頃とは違います。昔なら「あそこの区や街ではこんなことをやっている」などと比較していましたが、今は情報が世界中から入ってきて、世界との比較になっていますね。我々が円安を心配しても、民泊で外国人に宿泊サービスを提供している若者たちは「僕らはドルで稼いでいるから大丈夫」などと笑っています。タフだなと感じます。グローバル化がますます進むなか、そういった人材が育っていたり、活躍している渋谷のポテンシャルをもっと生かしていきたい。 ──渋谷に国際的なスタートアップ・コミュニティを作ることを目指して「シブヤスタートアップス株式会社」を民間企業とともに設立されました。どのような反響がありましたか。 長谷部:2023年2月に設立を発表しました。あの頃から、いよいよ本格的に動き出したと感じています。またスタートアップ育成に行政が加わっていることで、スタートアップへの出資や連携を検討している企業なども、よりアプローチしやすい状況になっています。アメリカ最大の高齢者団体で豊富な財政基盤を持つ「AARP(全米退職者協会)」とも協定を結ぶことができました。AARPが出資しているエイジテックのスタートアップを紹介してくれるような動きもあります。行政としての信頼感、渋谷が持つ力が発揮されています。