ドラッグストア業界4年連続No.1のウエルシア、PB注力の背景と戦略 「こだわりはネーミング」“改名”で売上5倍のヒット商品も
インバウンド需要が高まるなど、年々競争激化するドラッグストア業界において、4年連続売上1位を獲得しているウエルシア。徒歩圏内に競合他社が立ち並び、立地では勝負できず、どの店舗も豊富な品揃えで、どんどん差別化が難しくなっている中、同社は2020年にプライベートブランド(PB)を発足。ヘルスケア、日用品、食品、ビューティケアなど多分野で、リーズナブルかつ高品質な商品を多数展開し、独自のブランディングに取り組んでいる。熾烈を極めるドラッグストア業界において、トップを独走する同社の戦略を聞いた。 【画像】『誰も傷つけたくないスポンジ』『雨にも負けず風にも負けないスーパーハードヘアスプレー』ほか、独特ネーミングのウエルシアPB商品一覧
■PB=NBの廉価版ではなく、こだわりの“尖った商品”を開発 年間100品、3日に1品
今やスーパーやコンビニですっかり定着したPB。ドラッグストア業界でも、1990年代からマツモトキヨシ(現:マツキヨココカラ&カンパニー)をはじめ、各社が展開してきた。ドラッグストアにおけるPBのニーズやトレンドは、どのように変化してきたのだろうか? 「2000年代前半までは、“NB(ナショナルブランド)の廉価版”というイメージでしたが、最近では、企業の考えや目的を表現するための商品がPBになってきています。お客様のニーズをしっかり捉え、そこに合った商品を作るのがPBのトレンドだと感じています。 NBは”万人受け”というか、誰もが使っても満足のいく商品を狙う必要がありますが、PBはロット数をコントロールできるので、特定のニーズに特化し、中身にこだわった”尖った商品”が開発しやすい長所があります」(ウエルシア薬局 商品企画部 部長・岡本貴さん/以下同) ウエルシアでは、2020年から本格的にPB商品の開発に着手。翌6月に「からだWelcia(食品、化粧品など)・くらしWelcia」(日用品など)が発売された。現在のPB売上構成比は、「からだWelcia・くらしWelcia」は1.6%、イオングループ全体(元々あった「トップバリュ」「ハピコム」「ウエルシアPBを含む)では8.4%。これを「2026年2月期までに、10%まで引き上げたい」としている。 「からだWelcia・くらしWelcia」の品目数は280品。初年度の68品から、年間100品ほど増やしており、つまり3日に1品というハイペースで商品が生み出されている。開発スタッフは10名。彼らが1人10件ほどの案件を同時進行で手掛けながら、品質にはとことんこだわり、中には提案から発売まで、9ヵ月かけた商品もあるという。 ユニークなのは、その商品名。『とまらないアーモンド小魚』『あ、止まらないサクサクオクラ』『雨にも負けず風にも負けないスーパーハードヘアスプレー』『誰も傷つけたくないスポンジ』など、ネーミングセンスへのこだわりが窺える。 「我々、ネーミングにかける思いは本当に強いんです。その商品がどんな物かをネーミングで伝えようとしているので、長い名前になりますが、そこが良い所かなと思っています。PB人気商品の『とまらないアーモンド小魚』は、元々は普通に『小魚アーモンド』といった商品名でしたが、改名後、一時、生産が追いつかなくなったほど、売上が約5倍成長しました」