ドラッグストア業界4年連続No.1のウエルシア、PB注力の背景と戦略 「こだわりはネーミング」“改名”で売上5倍のヒット商品も
■ユーザーの声を反映した商品開発で独自ニーズを吸い上げ、陳列は必ずNBの隣に配置
「PBでは、自分たちでお客様のニーズに対応する唯一無二の商品を作れて、それをアピールできます。他店では買えない、ウエルシアだけで買える商品をお求めいただき、かつリピートしていただけることが最大の利点だと考えます」と話す岡本さん。とはいえ、店頭をPB優先で展開させることは考えておらず、NBとうまく絡めるように工夫しているという。 「やはりNBありきのPBだと思っていて、必ずお客様が(NBとPBを)比較して購入できる環境にすべきだと思っています。すべてがPBだと偏った商品ばかりになってしまい、逆にお客様が選びにくくなりますので。NBメーカーさんを立てつつ、そこに『こういう商品もありますよ』とPBを打ち出すのがベストかなと。売上の9割はNBですから、メーカーさんとお互いがウィンウィンになるように、常に調整しながら取り組んでいます」 こうした思いから、売り場ではPBを独立させるのではなく、比較対象としてNBの横にPBを並べる工夫を施している。ユーザーからは「こういう商品がほしい」という要望が日々寄せられており、それらを拾い上げて商品開発に活かすことも多いという。 「先述の『とまらないアーモンド小魚』は元々カップ入りでしたが、『大容量がほしい』というお声を受けて、大容量の袋入りを出したところ、そちらの方が売れました。最近では『オーガニックで、優しいリップがほしい』『柔らかいものがほしい』といった意見を汲み取って、『色も香りも楽しめるオーガニックなカラーリップ』を開発した結果、コスメ批評誌『LDK the Beauty』(2024年1月号)で2023年ベストコスメを受賞するなど、非常に良い評価をいただけました」 ほかにも、『誰も傷つけたくないスポンジ』がLDK年間総合ベストバイを受賞(2024年1月号)、『とってもサラサラ!EPA・DHA(オメガ3)』は『MONOQLO』(2024年1月号)で年間総合ベストバイに選ばれた。誕生から約2年半、徐々に認知・人気を広げてきた「からだWelcia・くらしWelcia」だが、会社として、PBの重要度は益々高まっているという。今年1月には初のブランド広告を新聞に出稿。今後はTVCMの放映も予定している。 「ブランド初となる新商品の発表会も計画していますし、SNSでの告知も強化していきます。もう店頭だけで売れる時代ではなく、やはりSNSでの拡散は無視できませんから。ウエルシアのメインのお客様は、30~50代の女性やファミリー層で、ここは大きくぶれませんが、さらに、Z世代・子育て世代・団塊世代に向けて、商品開発や販促を強化していこうと思います」