「社員のために尽くす会社」だけが生き残る理由 優れたリーダーに必要な「私たち」という視点
リーダーたる者は、5人、50人、100人、150人という組織において、どういう人がいるのかを把握し、それを創造的な形に持っていかなければなりません。 僕が、150人規模の集団のことを「ソーシャルキャピタル」と言ったのは、150人が適切な人数だというわけではなく、150人が上限だという意味です。 どんなに信頼できる人たちを追い求めていっても、150人以上にはならない。メンバーが入れ替わっていくのです。
5人規模のチームは、お互いのことをよく知っていますから、どんどん行動して実行部隊になるでしょう。しかし、その5人が同じような考えにまとまってしまったら、クリエイティビティは生まれなくなります。そこで、荒療治になっても、メンバーを入れ替えなければならないわけです。 ■人間同士がうまく交流できるようにする 入れ替えるだけでなく、5人の組織なら毎日、15人なら週に1度、50人なら月に1度、150人なら年に1度、会わなければ集団を維持できません。対面が重要であり、オンラインではダメです。
だからと言って、現在の科学技術をまったく無視することはできません。オンラインはサポートしながらも、人間の本質を見失ってはいけないということです。 特に、会社のリーダーは、本書に紹介されている「友情の7本柱」(共有された興味、世界観、ユーモアのセンス、音楽の好み、言語、教育、10代を過ごした土地)を活用するなどして、人間同士としてどういう交流を作るのかを考えなければなりません。 一緒に歌を歌ったり、ダンスを踊ったり、物語を語ったりして、身体の同調を高めるような交流を心がけなければ、信頼関係も、組織へのロイヤリティ(忠誠心)も高まっていかないのです。
リーダーは、「I=私」ではなく、「We=私たち」という視線で考えなければなりません。 組織に適切な規模は、5人なのか、15人なのか、50人なのか、150人なのか。そして、その規模を、「私たち」という視点で考えたとき、なにをするべきかを想像するのです。 こういったリーダーシップの重要性について、本書は、具体的な事例をともなって解説しています。 ■「組織が個人のために尽くす」時代 特に、これまでは「個人が組織のために尽くせ」と言われてきたが、これからは「組織が個人のために尽くす」という理念でなければ成り立たなくなるとまで言及しているのは、すごいところです。