立川志の輔さん招き、長野の限界集落で25年続いた落語会 住民高齢化で一区切り 「師匠のおかげ」
落語家の立川志の輔さんを招いた落語会が2日、長野県諏訪市の後山(うしろやま)地区で開かれた。後山は高齢化と人口減が進む山間部の小さな地区。後山出身で、昨年亡くなった小林恭一さんが、旧知の立川さんに「古里で落語会を開いてほしい」と打診して1999年に初開催。今回を含めて計15回開いた。準備に当たる住民の高齢化もあり、今回で一区切りとする。
高座で立川さんは、後山について「標高の高い所で息苦しくなるくらい空気が薄い」と冗談を飛ばすと、約150人の観客からどっと笑い声が起きた。後山特産のマツタケに触れ「世の中で好きな時に手に入らないのはマツタケだけ」と述べ、そのまま季節外れのミカンを探す番頭を描いた古典落語の演目「千両みかん」を熱演した。
立川さんは1時間近くよどみなく話し、会場からは笑いが絶えなかった。終演後、かつて開いた後山での落語会で、住民が400人近い観客にマツタケ入りのおにぎりを振る舞ったことを振り返り「後山の人たちは人情に厚い人たちばかり。小林さんに導かれたおかげで知り合えた」と笑顔だった。
後山地区恒例の落語会の開催を担ってきた一人、関保良さん(73)は「良かった思い出だけ残して一区切りにしたい。『限界集落』の中でも落語を見る機会をつくってくれたのは師匠(立川さん)のおかげ」と話していた。