『プロトリジゲン』2Dと3Dの切り替えが絶妙に気持ちいい。次元の壁を越えるメタ的ストーリーも気になる意欲的アクション【デジゲー博2024】
2024年11月3日に開催された同人・インディーゲーム展示即売会“デジゲー博2024”でプレイアブル出展されていたゲームの中で、筆者がとくにプレイしていて引き込まれたのが今回ご紹介する『プロトリジゲン』。ゲーム制作者のテクナン氏が、11月下旬ごろitch.io(※)での無料公開を目指して開発しているタイトルです。 【記事の画像(13枚)を見る】 ※PC向けインディーゲーム配信プラットフォーム リリース当初はキーボード+マウスでの操作になるとのこと。ゲームパッドでの操作はアップデートにて対応予定だという。 ゲームジャンルは2D×3Dアクションを謳っており、その名の通りドット絵で表現された平面的な2D空間と、ポリゴンで表現された立体的な3D空間を行き来しながらステージを攻略していくゲームです。 さまざまな地形を乗り越えていくジャンプアクションをベースに、次元の行き来を駆使して2D空間にあるスイッチを起動し、3D空間に新たな道を作り出すといったパズル要素が加わっている感じ。 次元を超えるために“裂け目”に触れるとBGMのメロディはそのまま、編曲がシームレスに変化するのがゲームオタク的にグッと来るポイントです。2Dの場面ではチップチューンっぽさが強調され、3Dに切り替わるとそこに奥行きが追加。作曲も自ら手掛けているテクナン氏のこだわりが感じられます(テクナン氏の投稿がわかりやすいので引用します)。 3D空間から平面へと出入りする仕組みからは『ゼルダの伝説 神々のトライフォース2』の“壁画化”システムや『スーパーマリオ オデッセイ』の一部2Dステージが思い浮かびましたが、これらに通じるアイデアをほとんど個人制作の規模のゲーム(ある程度知人の力も借りて開発しているとのこと)で実現しているのが驚きでした。 3D空間ではジャンプアクションならではのシビアな操作が求められる局面も また、上記の任天堂タイトルとも異なる独自性となっているのが、“カートリッジを差し替える”ギミックによって2D空間に変化をもたらせる点。このギミックによって“視点”を2D『マリオ』のようなサイドビュー(操作キャラを真横から見た視点)と2D『ゼルダ』のようなトップビュー(操作キャラを真上から見た視点)で切り替えられるのです。 カートリッジを差し替えても地形は変わりませんが、ゲーム性は変化します。トップビューでは乗り越えられなかった地形をサイドビューにしてジャンプで飛び越えたり、逆にサイドビューでは壁のようになっていて先に進めない地形がトップビューにすれば潜り抜けられるといった局面が今回のデモではありました。 進むことが困難そうな場所も、“視点”が変われば道が開けるかも? “次元の切り替え”に紐付いたストーリーも先が気になります。記憶喪失の主人公が最初に目覚めたのは“Q-5(キューゴ)”と名乗るロボットのいる2D空間。そして裂け目に触れてみると、3D空間のチュートリアル担当を名乗る“ミクリエ”という青髪ツインテールの少女に出会います。 ミクリエによると、Q-5のような2D空間の住人は3D空間のことを認識できないとのこと。まるで自分や主人公が、Q-5たちの“上位存在”であるかのような口ぶりです。 やがてQ-5のいる2D空間の果てまでたどり着いた主人公は、“StageClear”を実行することができるように。Q-5には「アナタとお別れになる“何か”かもしれない」と告げられます。これを実行すると……? 果たして、「StageClear」は何を意味するのか? そして2D空間と3D空間はどういった関係なのか? 主人公は記憶を取り戻して自分の世界に帰れるのか? BGMも相まって醸し出されるちょっと切ない雰囲気が、ストーリーの結末を見届けたい気持ちをかき立てます。 ゲームのボリュームは1時間くらいでクリアーできるくらいのものを想定しているとのこと。また、itch.ioで無料配信したのち、Steamでサウンドトラックやアートブックをセットにした有料販売も計画しているということでした。 コンセプトや世界観にビビッと来た人は、テクナン氏の情報発信をチェックして、プレイできる日を待ちましょう。