欧州ホットコイル市況が5カ月ぶり高値。A・ミッタル値上げ、需要低調で鈍い上昇
欧州で熱延コイル価格が緩やかに上昇している。英国を本拠とする鉄鋼メディアのカラニッシュによると、先週時点の欧州北部のホットコイル市況はトン当たり670~700ユーロとなり、5カ月ぶりの高値を付けた。 域内最大手のアルセロール・ミッタル(AM)はフランスのフォス・シュル・メール製鉄所で第1高炉の休止を継続するなど減産を実施しつつ、鋼材値上げを推進。国・地域によって若干異なるものの、鉄鉱石や原料炭などコスト上昇を反映し750ユーロ程度を求めているようだ。 AMの動きが市況にも一定の浸透を見せている格好だが、10月下旬の直近の底値からは70ユーロ程度の上昇にとどまる。需要に力強さを欠き上伸力が鈍く、AMなどの照準レベルからはいまだかい離している状態だ。 ただ米国連邦準備理事会(FRB)が来年は利下げに動くとの観測からドル安ユーロ高が進行。ドル換算では700ドル台後半となり、600ドル強のアジア市況とはやや値差が広がりつつある。日本からのEU向け輸出を占う上でも、欧州市況の動向は来年も注視されそうだ。