父“岸谷五朗”からの一言が泣ける。順風満帆とも思えた先には、1つだけ懸念点が|『光る君へ』第32回
愛を深める道長の表情に注目
道長は彰子(見上愛)の女房にならないか、とまひろに持ち掛ける。藤壺で続きを書かないか、と。まひろが藤壺にいれば、まひろに興味を持った一条天皇が訪れるきっかけになるかもしれない、と考えたのだ。 まひろとしても、自分が藤壺で働けば、一家の家計を支えられる。為時(岸谷五朗)もこれを名誉なことだと考え、賛成した。 と、ここで気になるのが倫子(黒木華)である。倫子は道長の心の中に別の女性がいると気がついている。その相手がまひろだと気づかれやしないだろうか。 倫子が道長に、どうしてまひろのことを知っているのか、と問うたのはヒヤリとした。しかし、道長は「公任に聞いた」とさらり。まひろがいることで帝が藤壺に通うようになるかもしれない、と聞き、倫子も嬉しそうに賛成をする。さらに倫子がそう言うのなら、とした上でまひろを女房にするあたり、きっと倫子の問いを想定していたのだろう。あまりにも流暢すぎて、疑われやしないかと思うけれど、嘘はついていないのだから、問題はない。いつからまひろのことを知っていたのか、と聞かれたらどうするつもりだったのかが気になるけれど。 道長のまひろに対する思いはと言うと、ますます大きくなっているように感じる。もはや気軽にまひろのもとを訪れるようになっていて大丈夫? となる。同じ目線で話をし、まひろ書いているそばでのんびりと物語を読む。 そして「俺が惚れた女はこういう女だったのか……」と考える。惚れ直している場合か……という気もするけど、この瞬間が幸せなんだろう。 相思相愛でも夫婦になれないふたりのこの距離感、まひろを見つめる道長の表情が良すぎて……むしろこの関係が正解だったのでは、と思わずにはいられない。
まひろが報われた日
しかし、今回の最大の見せ場は内裏に出仕するまひろを為時たちが見送るシーンだろう。帝に認められ、中宮に仕えるまひろは我が家の誇り、と為時は言う。 そして、「お前が女子でよかった」と。小さいころから、「男子ならば」と言われ続け、まひろも「男子ならば」と苦しみ続けた。男子ならばできることがある、婿を見つけて…などと言われることもない、と。そんなまひろが、自分の努力と才で掴んだチャンスだ。道長が一条天皇に物語を渡したからでは? と言われるかもしれないが、まひろの才は公任の耳に届いていたし、まひろの力であることは間違いない。苦しみ、迷いながら、「自分が自分であるための道」を探し続けた結果だ。 とは言え、まひろが女房たちの中でうまくやっていけるとは思えないんだけれど、大丈夫だろうか、そのあたり。 <文/ふくだりょうこ> 【ふくだりょうこ】 大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ
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