大谷翔平 逆転三冠へ打率4厘差 ナ・リーグ87年ぶり偉業へ残り1試合「4安打以上」が目安
「ロッキーズ2-13ドジャース」(28日、デンバー) ドジャースの大谷翔平選手(30)が敵地でのロッキーズ戦で2安打を放ち、打率を・310に上げた。トップのパドレス・アラエスとは4厘差。29日の最終戦で自身初の三冠王を目指す。盗塁は一つ決めて58盗塁とした。先発の山本由伸投手(26)は5回4安打2失点で、6月1日以来の白星となる7勝目を挙げた。チームも4連勝で、ナ・リーグの勝率1位が確定。プレーオフを第1シードで迎える。 あきらめない。強い気持ちをバットに込めた。プレーボール直後の打席。前日に続き、敵地ファンの歓声を受けた大谷が右翼フェンス直撃の打球を放った。6日前の対戦で2安打した右腕センザテーラの外角スライダーを見切った打球の速度は両軍最速の179キロ。11試合連続安打で逆転三冠への意気込みを示した。 6点リードの六回には中継ぎ右腕に対し、フルカウントから右前へはじき返し、4試合連続、61度目のマルチ安打をマークすると、次打者の打席で今季58盗塁目となる二盗を成功させた。捕手の送球が投手の背中を直撃する珍プレー。楽々と二塁を陥れた。 この日は大谷にも珍しいプレーが続いた。初回に出塁した際にはベッツの打席でフルカウントから自動スタート。一塁後方への飛球を見て、二塁ベースを回ったところから帰塁を試みる。ところが、ベース踏み忘れでアウト。五回は四球から二盗を成功させて一度は盗塁が記録されたが、試合終盤で投手のボークによる進塁と訂正され、“幻の盗塁”となった。 打率リーグトップのアラエスはこの日のダイヤモンドバックス戦を欠場。チームは前日の試合でワイルドカード1位を確定させたため、他の主力とともに休養を与えられたが、29日の最終戦には出場予定。3年連続首位打者、さらにはあと1本に迫っている2年連続200安打を懸けた打席に臨む。 残り1試合で4厘差。前日の試合後に大谷の逆転三冠を期待する言葉を口にしていたド軍のロバーツ監督は「可能性は低い」としながらも「翔平がまた大きな日にするかどうかを見守っていきたい」と言った。 メジャー12年ぶり、ナ・リーグ87年ぶりの三冠王誕生には4安打以上の固め打ちが一つの目安となるが、アラエスが打率を落とせば、そのハードルは下がる。55本塁打に王手をかけ、60盗塁にもあと2に迫っている。打者に専念したシーズン。大谷が最終戦の打席で、これまで培ってきたすべてを集約させる。