1億円超「新築タワマン」を購入も妻からの三下り半。手堅い選択だったはずの“ペアローン”が災いの種に
モラハラ夫に知られずに自宅の持ち分を売却
――離婚と言えば、熟年離婚も増えています。これに絡んだトラブルというのはありますか? 丸岡:長年にわたりモラハラ夫と暮らしてきたSさんは、娘さんの結婚を機に別れる決意をしました。それで、共有になっている自宅の自身の持ち分を売りたいと相談に来られました。 その際、Sさんは希望を出されてきて、売却の手続きは夫に全く知られずに行いたいとのことでした。 そのご希望に従って手続きを進ませ、その後のことも顧問弁護士と相談しながらやり取りしました。すべての段取りを済ませ、弊社から夫へと連絡し、協議をしました。最終的に夫は自分の持ち分も売却して、自宅を出て行くことを選択されました。今の熟年世代で自宅を共有していることは少なく、こうしたケースは、どちらかと言えばまれなものです。ただ、自宅取得の自己資金を奥さんも結構出した場合は、共有になることがありますね。 ポイントは、持ち家が夫婦の共有になっている場合は、買い手さえ見つかれば、共有者の同意がなくても自分の持ち分を売却することが可能なことです。これについては、不動産会社によって対応日数がかかることが多いので、弊社のような訳あり不動産の専門業者に依頼するのがいいでしょう。
増える管理不全マンションという問題
――ご著書『拝啓 売りたいのに家が売れません』のなかでは、一人暮らしをしている90歳の父親が、脳出血で死亡しているのを息子が発見するというエピソードがあります。発見が早く、特殊清掃業者が大がかりな処置をすることもなく済んだようですが、これも訳あり物件という扱いになるのでしょうか? 丸岡:はい。心理的瑕疵の事故物件として、不動産会社は告知しなくてはいけません。ただ、一口に事故物件と言っても、ランクのようなものがあります。病死され発見も早い場合と違って、他殺や自殺ですと心理的なインパクトがまったく違いますし、特別な扱いとなります。 ところで、90歳の父親が住まわれていたのは、かなり古いマンションという問題もありました。 マンションの老朽化の問題は、これからどんどん表に出てくると予想します。改修しようにも修繕積立金だけでは賄えなかったり、所有者も管理組合も高齢化するなど、管理不全マンションは増えています。通常の不動産会社では難色を示す物件ですが、弊社で買い取らせていただき、リフォームなど適正な処置をして、買い手が見つかりました。 今後、おひとりさまの高齢者は増えていくのは確実です。同様の問題を未然に防ぐには、親族の方々がまめにコミュニケーションをとるのが大事だと思います。 <取材・文/鈴木拓也> 【丸岡智幸】 株式会社ネクスウィル代表取締役。1983年生まれ。大手電力会社に約10年勤務の後、不動産会社で投資用アパートの販売業務などに従事。2019年に独立して、ネクスウィルを創業。訳あり不動産の買い取りサービス「ワケガイ」や、訳あり不動産のオンラインマッチングサイト「空き家のURI・KAI」のサイト運営もする。訳あり不動産が社会問題化するなか、そうした不動産を取り扱うリーディングカンパニーとして注目されている。著書に『拝啓 売りたいのに家が売れません』(自由国民社)がある 【鈴木拓也】 ライター、写真家、ボードゲームクリエイター。ちょっとユニークな職業人生を送る人々が目下の関心領域。そのほか、歴史、アート、健康、仕事術、トラベルなど興味の対象は幅広く、記事として書く分野は多岐にわたる。Instagram:@happysuzuki
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