金正恩委員長の決心だけが残った…プーチン大統領 「相互軍事支援」朝ロ条約に署名
ロシアのプーチン大統領が9日(現地時間)、北朝鮮との「包括的戦略パートナーシップ条約」(朝ロ条約)批准案に署名した。ロシアと北朝鮮が、双方のうち一方が武力侵攻を受けて戦争状態になれば別の一方が軍事支援を提供するという内容が盛り込まれた条約が近く発効するだけに、朝ロ間の軍事協力が当分はさらに加速化するという見方が出ている。 ロイター・タス通信などによると、プーチン大統領はこの日、ロシア議会が批准した朝ロ条約に署名した。プーチン大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は6月19日の平壌(ピョンヤン)首脳会談でこうした条約を締結した。プーチン大統領は先月14日に条約批准案を提出し、ロシア下院(国家ドゥーマ)と上院(連邦評議会)は先月24と今月6日にそれぞれ全会一致でこれを可決した。 条約の前文には「この条約は批准書が交換された日から無期限効力を持つ」と明示されている。これを受け、北朝鮮が批准・署名に該当する手続きを踏んでロシアと批准書を交換すれば、条約の効力は無期限で発生する。ただ、北朝鮮は朝ロ条約の批准・署名について対外的に発表していない。 一般的な条約の場合、韓国の国会に該当する最高人民会議が批准するが、重要な条約である場合は国務委員長(金正恩)が批准・破棄できるよう北朝鮮憲法に明示されている。金正恩委員長の決心しだいでいつでも批准・署名が可能ということだ。 2000年のプーチン大統領の初の訪問当時に締結された「朝ロ友好善隣協力条約」批准当時、北朝鮮側がロシアより迅速に動いた。韓国統一部の当局者は「2000年度に北朝鮮とロシアが条約を締結した当時には2月9日に双方外相が署名し、北が先に4月に批准し、ロシアは7月に批准した」と説明した。 朝ロ双方は条約の批准を根拠に、後から北朝鮮軍のロシア派兵を正当化する作業を本格化すると予想される。条約第4条は「双方のどちらか一方が個別国家または複数の国から武力侵攻を受けて戦争状態となる場合、他方は国連憲章第51条と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)とロシア連邦の法に準じて遅滞なく(without delay)自国が保有しているあらゆる手段(with all means in its possession)の軍事的およびその他の援助を提供する(shall provide)」という内容があるからだ。 実際、プーチン大統領は7日、ロシア南部ソチで開催されたバルダイ会議で、北朝鮮との合同軍事訓練の可能性について「(ロ朝)条約には一方が侵略を受ければ相互支援するという第4条もある」とし「我々は訓練をすることもできる。できない理由はない」と述べ、両国の合同軍事訓練の可能性に言及した。 また、この条約が「宇宙と平和的原子力利用など科学技術分野」で交流と協力をするよう規定しているだけに、ロシアの先端軍事技術が北朝鮮に移転・拡張する可能性もある。両国が法的効力を持つ朝ロ条約を根拠にグローバル安保不安を増幅させるという懸念が出る理由だ。 慶南大極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「朝ロ条約の本格的な発効は金正恩委員長の決心だけが残った状態とみられる」とし「ウクライナ戦争を支援してきた北の立場では、今後ロシアの支援をより制度的に導くことができる法的基礎を用意するのに没頭するだろう」と述べた。