反則タックル問題で関東学生連盟が会見(全文2)内田氏、全てに信用性がない
試合後、内田監督が受けた囲み取材
試合後内田監督はスポーツ紙などの記者数名から、囲み取材を受けております。そこでの発言は、力がないから厳しくプレッシャーを掛けている。待ちでなく攻めて戦わないと。選手も必死、あれぐらいやっていかないと勝てない。やらせている私の責任というものであったと報道されております。これは5月7日付のスポーツ紙でございます。しかし、おそらくこれは内田監督の発言を要約したものであったと思います。 実際は、もっと踏み込んだ発言をしていたと複数の者が認めています。例えば、記者からのちょっとやり過ぎだったのではないか、選手がはき違えてしまったのではないかという趣旨の質問に対して、はき違えたというより、僕が相当プレッシャーを掛けてそういう方向に持っていっている。それが反則であるというのならばこれは僕の責任、僕のやり方、当該選手はよくやったと思う、もっといじめますけどね。反則をしちゃ駄目よ、というのは簡単なこと、もっとやってみな、そう思いますよ、などと回答しております。 その後、続きましては日大側の主張とその真偽についての検討でございますが、これまでご紹介した規律委員会が認定した事実について、日大側の主張については要約しますと、監督は私は言ってない、それから井上コーチはあくまでも闘志を込めてやれという意味であったということは、皆さまのご承知のとおりだと思っております。今回の原因は、指導する側と指導を受ける側の認識の乖離であったと思われます。
クオーターバックをつぶせ、に込められた意図
規律委員会の調査開始当初からしばらくの間、いわゆる監督からの指示の有無がメディアを賑わせておりましたが、その後、5月22日の当該選手の記者会見および同23日の日大指導者、これは内田監督と井上コーチの記者会見については、当該選手と日大指導者側の言い分の不一致は、細かい点を除けば要するにこれからご紹介する1から4の4点に絞られていると思います。 1つ目、クオーターバックをつぶせ、に込められた意図です。ここに意識の乖離があったのかということです。当該選手はこれを関学のクオーターバックをけがさせてしまえという指示だと受け取った。他方、井上コーチは規律委員会のヒアリングでも記者会見でも、そういう気持ちでプレーしてほしい、思い切りプレーしてほしい、そんな気持ちを込めてクオーターバックをつぶせと言ったのであり、クオーターバックをけがさせてこいとは指示していないと供述しております。 確かに気性が激しくない選手に対しては、クオーターバックをつぶすくらい思い切りとか、クオーターバックを壊してしまうくらいの激しさでというような指示はあり得ます。しかしながら思い切りプレーする、激しく行うというのはコンタクトスポーツであれば当然であって、それを3年生のレギュラー格の選手、しかも全日本に選抜されている当該選手にわざわざ指示したというのは不自然であります。また思い切り当たるのが当然のアメリカンフットボールにおいて、他校の友達だからといって、タックルやブロックを手加減したりはしません。これは他の競技でも同じであると思います。ルールおよびスポーツマンシップの範囲内での全力プレーの中でこそ、ライバル校同士、相互の尊敬と友情が生まれるのであります。 そうだとすれば、思い切りいけ、激しくぶつかれ、という当然のことを指示するだけなら、相手クオーターバックと友達か、などと尋ねる必要はありません。友達を相手にさすがにここまではできないということをさせようとしたからこそ、井上コーチはそう尋ねてしまったと考えるのが自然であります。このように考えていきますと、クオーターバックをつぶせという指示には、思い切りプレーする、激しく当たるという当然のこと、確かにそういう意図もあったかもしれませんが、のみならず、友達にはとてもできないようなことをしてこい、つまり文字どおりつぶしてこい、けがをさせてしまえという意図が込められていた。すなわち、井上コーチの指示はそのようなニュアンスだったのであり、当該選手もそのニュアンスどおりに指示を理解した。日大側が主張する認識の乖離などそこには存在しないということになります。規律委員会はこのように断定します。 そうであるならば、井上コーチは規律委員会のヒアリングでも記者会見でも否定していましたが、当該選手がディフェンスのウォークスルー練習時に聞いたという関学との定期戦はなくなったっていい、クオーターバックがけがして秋に出られなければ日大の有利となる、という意味の発言も、実は存在していたと考えるのが自然であると思います。